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第20話 初ダンジョン、そして企画開始

(おはこんばんにちわー)

(ビビアン、画面揺れてるけど、もしかして移動中?)


松明に照らされた私の顔が揺れている。

私は歩きながらスマホで配信を始めた。


「皆さまこんにちは、ビビアンの部屋へようこそ。

ここは例のモンスターがいる洞窟ですの。

モンスターを刺激してしまうのであまり大きな声を出せなくてごめんなさいね」


私の足音と水滴の落ちる音が聞こえ

声を出すと反響する。

初心者用のダンジョンということもあり

道には一応松明も設置されている。

足元を照らすように

私も松明を持っているがそれでもまだ薄暗い。


(だいぶ薄暗いね……洞窟配信?)

(松明!おおお、ダンジョン探索って感じの雰囲気出てるわ!!)


リスナーさんは雰囲気だけでも大盛り上がり。

本当に彼のいた世界にはモンスターなど存在しないということを実感する。


(初心者用の低級ダンジョンを見られる日が来るなんて……我が生涯に一片の悔いなし)

(お前の生涯が低級すぎて草)

(悔いなくなったならモブと一緒にビビアンの肉壁して来いよw)

(そうだ!モブもいるんでしょ?まさか一人で歩いてるんじゃないよね?)

(ちゃんといる?)


リスナーさんに聞かれ、少し先を進む彼に視線を移す。


「彼は、わたくしの少し先を進んでいます。

 彼は顔出しも声出しもNGですから。」


彼はそばにいるものの、初めての暗い洞窟を歩いていて少し不安になっていた。

しかし、いつも通りの明るいリスナーさんたちのおかげで気持ちが楽になる。

私一人ではこうはいかなかったでしょうね……

彼とリスナーさんに改めて感謝ですわ。


「ところで道には松明がささっていますけど、最低限の灯りですわ。

皆さまちゃんとわたくしが見えまして?」


配信画面に映る私はいつもよりだいぶ暗く、

かなり見えづらい。


(一応ちゃんと見えるよー。大丈夫)

(今更だけどさ……初心者用の低級ダンジョンって何?wおしえて!えらいひと!ww)

(そんまんまだよ。駆け出し冒険者の練習場として整備されている場合もある)


私の代わりにリスナーさんが答えてくれる。


「そうらしいですわ。

でも最近はゴブリンが近隣の町の畑を荒らすという被害があって、

討伐依頼が出ていましたの」


私はリスナーさんの説明にクエスト内容を付け加える。


(それにしても薄暗いなぁ)

(ビビアン?転ばないように足元注意ね!w)


その言葉に反論する。


「わたくしそんなにドジじゃ……」


私はその言葉を言い終わる前に、躓いて体勢を崩した。


(ほら~~ww)


コメント欄が笑いに包まれる。

その時、聞いたこともない鳴き声が聞こえてきた。

——ギャッギャッギャッ……


辺りには一瞬の静寂が訪れる。


(なんか変な声した?変なの数匹おる?)

(今確かに何か聞こえたなぁ?例えるならドナルドダックみたいな声?)

(ドナルドダック影分身した?w)

(それはそれで怖い……というかうるさいww)

(マジレスすると、たぶんゴブリンだろうな)


彼も私に向かって口元に人差し指をあてている。


「皆さま聞こえまして?ようやく企画ができますわね!」


私は少し緊張を残しながらも心は高揚していた。


(ビビアン、嬉しそうにしてて余裕そうじゃん?)

(バトルジャンキーかよwイメージカラー的に……青の剣士?w)

(だいじょうぶかな?)

(なんだかこっちまでドキドキしてくるね!)

(マジで僕まで緊張してきた。一瞬トイレいいですか?)

(バーロー!始まる前に行っとけ!)


コメントを読みつつ

少し進んでいくと道が開け、広い空間に出た。

そこには三匹のゴブリンの姿。


(ゴブリンいた!)

(ドナルドダックじゃなかったw)

(ドナルドゴッブだったなww)

(ゴッブってなんだよw)


初めて見るゴブリンに

リスナーさんはテンション高めな反応を示す。


「とうとうこれから戦闘ですのね!

ではスマホはこの岩の上に置いておきますわね!」


岩の上に石を持ってきて置き、スマホを立て掛ける。

そして少し先にいるゴブリンが映るように角度を調整する。


(頑張って!!)

(サポートは任せろ!!)

(ケガしないようにね?)

(成功させようね!初企画!)


次々と応援コメントが寄せられる。


「ありがとうございます!

いってまいりますわ!

 それでは【リスナーさんと一緒にモンスター討伐企画】スタート!!」


私は後ろ手にそう言って駆け出した。

その声と同時に開始のゴングかのようにカンッという音が響き渡る。

何の音かもわからないまま私はゴブリンに向かって行った。


お読みいただきありがとうございます。


「面白いなっ」


「このあとが気になる」


と思いましたら、ブックマークか

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どうぞよろしくお願いいたします。

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