新時代とはほろ苦いものだ
本作品は『東方project』の二次創作です。原作に作者の発想、解釈を加えたものになります。その点ご了承ください。
この話を読む前に先に第2章紅魔の陰謀「新時代に乾杯を!」を読むことをおすすめします。話の絡みが結構あるので。
「あら、許してくれなくて結構よ?消すだけだから」
紫がゆっくりと妖夢に近づく。
「魂魄妖夢。まさか従順だと思ってたあなたが主に反旗を翻すとはね」
「…私の主はあなたではない。幽々子様だ」
妖夢は半霊を元に戻し、戦闘体制に入る。
「私に逆らうことすなわち幻想郷に仇なす行為…主と言っても過言ではないでしょ」
「主とは従者を思いやるものだ。自身の秘密のために人を道具のように使ったりしない」
「私のような主になってくると人を道具みたいに使わないとやってられないのよ…さて、禁忌である西行倉庫を開けたわね。急に寒くなったからまさかとは思ったけども…西行妖を咲かせることは異変につながるってまだわからないかしら?」
「…前の時は止めなかったですよね」
「前は前、今は今よ。今のはダメなの」
(やはりこれが本当の西行妖の封印の解き方…!)
妖夢はそう勘づいた。
「知ってしまった以上、消えてもらうしかない。幽々子には『妖忌と同じように妖夢も悟ってどこかに行った』って伝えておくわ。じゃあね…魍魎『二重黒死蝶』」
蝶型の弾幕が直線的に発射される。
「ふんっ、こんなもの!」
なんの造作もなく避ける妖夢。
しかし、その弾幕はスキマの遠隔操作でも受けたのだろうか、紫を中心に回転し始めた!
「何ですと…!」
妖夢は刀を使って弾幕を捌いた。
その時ー
「廃線『ぶらり廃駅下車の旅』」
紫の後ろに巨大なスキマが作られ、そこから電車が飛び出してきた!
電車は一気に距離を詰め、蝶型弾幕を捌いていた妖夢にはもう避ける時間はない…
(さすが…妖怪の長、八雲紫…つ、強すぎる…)
妖夢は死を覚悟した。
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その頃。
「やばいな、もう紫が来ちまった」
「ここにいるのがバレたら私達も消されてしまう…どうする?霊夢」
「…妖夢は助からない前提なのね」
「助けたいのは山々だが…相手が悪すぎる。3人まとめてかかってやっと勝てるかどうかってとこだぜ」
「それに博麗の巫女として紫様とは関係を悪化させるわけにもいかないでしょ?ここは残酷ではあるけども妖夢を見捨てるしかない。…それがあの子の運命なのよ」
「運命…そんなのって…半分は私達のせいなのに…」
{「…ならあなたがこの幻想郷を変えてみせなさい」}
咲夜と魔理沙が逃げるタイミングを探している中、霊夢は紅魔館でのレミリアの言葉を思い出していた。
{「私の血を入れておいたわ。これで運命を見ることは叶わなくとも…『本来の運命から外れる』ことはできるでしょう」}
「運命を…変える」
{「これより幻想郷の運命は動きだす。もはや新時代となりその先に待つものは私にもわからない。それでもいいのね、霊夢」
「ええ、覚悟は決まったわ。運命を変え、新時代を作り上げて…陽炎を倒す!」}
「運命を変えて…新時代を作る」
{「ほろ苦いわね」
「それでいい」}
「おい、霊夢。一体どうした?」
ただならぬ霊夢の様子に気づいた魔理沙が霊夢に声をかける。
ちょうど妖夢が紫の電車の弾幕を被弾しそうな時だった。このままでは妖夢は大ダメージをくらいながら西行妖にぶつかって精気を搾り取られ、死んでしまう。霊夢は紫をきっと睨む。
{「新時代とはそういうものだ」}
「紫ぃ!来たる新時代を!舐めないことね!」
「霊夢!一体何をー
「宝符『陰陽宝玉』!」
紫の電車に巨大な陰陽玉を妖夢を掠めながらぶつける。
巨大な弾幕がぶつかり合い、カッと光ったと思うと、大爆発を起こす。爆煙が立ち昇る。
「道理でおかしいと思ったわ…あなたがかんでたのね、この異変は」
紫が爆煙の先を見据えながら言った。爆煙がゆっくりと消えていく。
「13代目博麗の巫女、博麗霊夢!!」
座り込んでいる妖夢の横に立っていたのは霊夢だった。
もしかしたら今までの作品を改稿するかもしれません。その場合はストーリー自体は変えない予定なのでご安心ください。改稿が決定したらツイッター、なろうのブログ、後書きなどにて正式に発表致します。
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