妖忌の苦悩、そして絶望
本作品は『東方project』の二次創作です。原作に作者の発想、解釈を加えたものになります。その点ご了承ください。
咲夜は血でぐっしょりになった障子紙を取り出した。
「それは…幽々子様の血!何でそんなに出ているんです?」
「そうなのよ。妖夢の話から推測するに、妖夢が幽々子様の異変に気づいた時には血の量は触れるまで気づかないレベルの微量。けれども障子紙に付着している血の量は多量。つまり、妖夢を始末してから幽々子様にナイフを突き立てまくったことになる」
「快楽殺人鬼とかじゃないのぜ?それか幽々子に特別な恨みを持つやつとか…」
「快楽殺人鬼なら妖夢も刺すでしょう。恨みを持ってるなら妖夢が来る前にめった刺しにするに決まってる。要するに誰にも邪魔されずに幽々子様の血が欲しかった…というわけよ。そして極めつけはこれよ」
咲夜が障子紙の隅の方を指差す。血が付いた桜の花びらが張り付いていた。
「じゃあ、これが…」
「そう。西行妖の封印を解く本当のキーは…幽々子様の血!」
「そ、そんな…」
妖夢が青ざめる。
「じゃあ…どうやっておじいちゃんは満開の西行妖を見たんです?!」
「…だから酷だって言ったでしょ。これはあなたのお祖父さんの失踪にも繋がることなのよ…恐らく紫様は西行妖の封印の解き方を知っている。しかも西行妖何てここ冥界にあるものだし、その特性上誰も近づきたがらない。何か隠したいものがあるならここに西行妖もろとも封印するのが上策じゃない?」
「なるほど、そこで倉庫に繋がるわけか」
魔理沙は納得したようだ。
「確かにな。西行妖に倉庫が封印されてる何て誰も考えないだろうし。他に穴の空いてる倉庫がないならその線しかないな」
「それでおじいちゃんは…」
「…覚悟して聞きなさい、妖夢。紫様は封印の解き方を知っている。だけど、解いて倉庫を作れるかとなると話は別よ。幽々子様の血を大量にとるとなるといくら親友とはいえ抵抗を受ける。より安全な方法があるならとりたいというもの。そこで狙われたのが…あなたのお祖父さんよ」
「な、何でです?!」
「幽々子様に何の注意を払わせずに近づけ、気づかれることなく意識を奪い、大量の血を素早く取れる者。そんな人物は元白玉楼専属庭師兼護衛役、魂魄妖忌しかない!」
「そ、そんな…」
「恐らく何らかの脅しを受けた妖忌は悩みに悩んだ末に実行した。大量の幽々子様の血を受け取った紫様は西行妖の封印を解き、倉庫を作り上げ隠したいものを入れた上で再び封印した。…寄り付いたものの精気をことごとく自らの養分にする西行妖の特性上、スキマを使った遠隔操作でしょうけど。そこで妖忌は満開の西行妖を見て、良心の呵責に耐えられなくなった妖忌は動いてしまった」
「え?」
「主人に刃を向けるという武士としてあってはならない行為。恐らく妖忌はもう死を以てでしか償えないと判断したのでしょう。…西行妖もろとも封印されることを望んだのよ」
「そんな、馬鹿な!」
「これなら妖忌が幻想郷のどこにも見つからないという疑問に答えを出せるわ。妖忌は急に悟りを開いたとか言った誤魔化しは嘘。それならどこかにいるはずだから。でもこの幽々子様の血がキーという仮説が真とするなら全てが繋がる!」
「…あくまで仮説でしょう」
「じゃあ、やってみる?今から」
咲夜がポンと障子紙を地面に置く。
「「「今から??!!」」」
勢いでもう一作作ってみました。これ以上は今日は作らない予定です。作ったとしてもエッセーかな?
…あと妖忌ファンの皆さん、色々解釈改変すみません!
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