妖夢のプライド
本作品は『東方project』の二次創作です。原作に作者の発想、解釈を加えたものになります。その点ご了承ください。
「畜趣剣『無為無策の冥罰』!」
妖夢が大きな斬撃を繰り出し、そこから細かい斬撃が霊夢達を襲う。
弾幕の煙が上がる。
「…逃げた?」
そこに霊夢達はいなかった。
既に霊夢と魔理沙は巧みに避けて作戦会議のために西行妖の前まで引いていた。
「魔理沙、ここは私に任せてくれない?」
「どう言うことだ?」
「今ここで妖夢を倒してしまったら情報が手に入らなくなる。ほどほどのところで切り上げたい」
「…わかった。でもやばくなったなら言うんだぞ」
「ええ。じゃあ行ってくるわ」
再び白玉楼に向かった霊夢。そのあとには桜の花びらが舞っていた。
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「せめて白玉楼の見取り図くらいあるかと思ったのだけど…」
咲夜は今白玉楼の倉庫のうちの一つにいる。もっとも穴は空いていないから目撃のあった倉庫ではない。
「やっぱりないか…このままだとまずいわね…」
止まった時の中で倉庫の本をあれこれ読み漁ったが大した情報は得られていない。
幽々子の好きな食事。妖夢の仕事内容。妖夢の祖父、妖忌について。目立った情報はそれくらいだ。
「にしても妖夢のお祖父さんが西行妖の満開を見たというのは意外ね。確か半人半霊の寿命は400年だったはずなのに…それに何よ幽々子様の外出中に悟りを開いて白玉楼を去ったって…眉唾もいいとこね」
本を閉じて倉庫を出る。
「うーん…穴の空いた倉庫何てあるの?ぶっちゃけ妖精の言うことなんだからアテにする方がおかしいのかも…ん?」
倉庫のそばにゴミが捨てられているに気づく。
「…あれは血?かしら…」
血のついた障子紙がたくさん捨てられていた。
「しかも、これただの血じゃないわね。やや青みがかった血…亡霊の血…幽々子様のものだわ」
咲夜は冷静に分析する。
「どうやら何者かに襲われたって感じね。やれやれ、やっと情報を掴んだわ」
証拠品をかき集める。
「にしてもなんで袋に詰めてない上にゴミ捨て場に捨てないのかしら。妖夢も従者としてまだまだ…こ、これは!?」
障子紙と障子紙の間に何かを発見した咲夜。
「ま、まさか…いや、待って。さっきの…あり得る、あり得る!可能性の域を出ないとはいえあり得るわ!…早く霊夢達と合流しなくては…」
咲夜は白玉楼の方へ急いだ。
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「…戻ってきたのですか。てっきり私の弾幕に恐れをなしたのかと思いましたよ」
今度は妖夢が挑発する。
「ええ、戻ってきたわ。あんたを目覚めさせるためにね」
「…え?」
「あんた…何で何が起こったのを言おうとしないのか知らないけど、それじゃ全く主人のためにならないわよ」
「何も知らないくせに御託を並べるのですか?」
「ふん、ならばあててやるわ。幽々子は曲者によって倒された。あんたでは相手にもならなかった。違う?」
「どうしてそれを…」
「幽々子がいない時点で大体わかったわ。それにあんたに後ろ傷を負わせるやつなんだから相当な強者というのも予想できた。ただそれだけよ」
「…」
「さて、妖夢。何で起こったのを言わなかったの?」
「…プライドですよ」
「あー?そんだけ?」
「私の師匠でもあったおじいちゃんが言ってたんです。武士は名を重んじる。笑われるくらいなら死んでも構わないってね!我々には白玉楼としてのプライドがある。首脳が率いる白玉楼が博麗の巫女に救われるなんぞもっての外!そのためには死んでも構わない!」
妖夢は二刀を構える。
「名を重んじる?今のあんたはただの名にしがみついてるやつにしか見えないわよ。名を重んじているかどうかその剣に聞いてみなさい!」
霊夢は大幣を構える。
「人界剣『悟入幻想』!」
「宝符『陰陽宝玉』!」
妖夢は霊夢めがけて赤い斬撃を放つ。
霊夢は妖夢に陰陽玉を狙い打つ。
「ふんっ!こんなもの!」
妖夢は長刀の楼観剣で陰陽玉を両断した…ように見えた。
ファサファサ…
「…これは陰陽玉ではない!」
大量の札を球状に丸めただけだった。札が辺り一面に飛ぶ。
その中、霊夢は一気に妖夢に近づき、今度は本物の陰陽玉を放つ。妖夢はさっき両断した時の勢いで楼観剣は下がっている。白楼剣は短刀なので突っ込んでくる陰陽玉に対応出来ずにー
「しまった!」
もろに食らってしまった。
「ひ、卑怯な…」
「妖夢…一ついいことを教えてあげる。プライドはね、捨てることで守られることもあるのよ。…さて、あんたの情報をもらおうかしら」
【西行妖】白玉楼に生えている桜。元々妖怪桜だったが幽々子の亡骸を使って封印した。その後幽々子は亡霊になっており、そのことを覚えていない。
妖夢との対決…これでよかったのかなあ?とずっと悩んでましたが流石に物語を進めないといけないし、今日も徹夜して全く頭が回らなくなったということでこれで行きます。また多少の変更はあるかもしれませんがあしからず。
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