操られる人形術師
本作品は『東方project』の二次創作です。原作に作者の発想、解釈を加えたものになります。その点ご了承ください。
「んじゃ、突撃と行こうぜ!」
箒にまたがってどんどん上の方に飛んでいく魔理沙が意気込む。白玉楼は冥界にあるので空の上にあるのだ。
「魔理沙、そんなに速くいったら逆に見つかるわよー」
「大丈夫!あとは咲夜がやってくれるからな!」
「何か魔理沙にいいように使われてる気がするんだけど…」
大妖精が去ったあと、霊夢達は作戦を立てた。それは至ってシンプル。霊夢と魔理沙が白玉楼の住民の注意を引きつけているうちに、咲夜が現場の倉庫を調査する。咲夜の時を止めるスペルカードの「幻世『ザ・ワールド』」を使うことで出来るだけ時間短縮を図るというものだ。
「ははは!人間なんて使われてなんぼ…ヘブッ!」
魔理沙が何かにぶち当たる。
「痛いなあもう!咲夜!いくら何でも殴ることはないだろ!」
「あ、魔理沙…前…」
「ん?お、アリスだったのか!」
そこにいたのは魔理沙と同じ魔法使いである、アリス・マーガトロイドである。
「よっ!何でこんなところにいるんだぜ?」
「…げて」
「ん?何て言ったんだぜ?」
霊夢はアリスの異様な雰囲気に気づいて周囲を見渡す。
空中に浮かんでいる妖精達の気絶した姿。その中にはさっき大妖精が探していたチルノもいた。
「逃げて!」
「魔理沙!そこを離れなさい!」
アリスと霊夢が同時に叫ぶ。しかし、アリスの言葉とは裏腹にアリスは手を前に出してー
「操符『乙女文学』!」
人形を次々と出しながらそこからレーザーや弾幕を撒き散らす。
「ぬおおっ!?」
慌てて弾幕から脱出する魔理沙。
「危なかった…一体アリスはどうしたんだろ?この前魔導書を返さなかったからか?」
「んなわけないでしょ!しかし…どうしたんだか?」
「霊夢もわかってないのかよ!」
「霊夢、魔理沙。アリスの頭を見て」
「ん?…あ、あれは!」
「あれ、スキマじゃない?」
アリスの頭のヘアバンドのところにうっすらと見える紫色のもの…スキマだ。
「くっそ!ここまで監視を広げてるのかよ!」
「いや、あれは監視用のスキマじゃないわ」
霊夢が否定する。
「もっとタチの悪いものよ。紫の「境界を操る程度の能力」…その範囲は空間だけじゃない。概念にすら干渉できるのよ!」
「え!じゃあ、あれは…」
「スキマでアリスの思考における概念を操って、仮に攻撃しなくとも自身に近づくものを攻撃するようにしてる…今はアリスは紫の操り人形ってわけよ!」
「…これが紫様のやり方ってことね…」
「人形を操る者が操られるか…皮肉なもんだな。霊夢、スキマを閉じる方法はないのか?」
「…思考をやめさせるしかない。つまり、意識を失わせるまで弾幕を打ち込む!その一択!」
霊夢が大幣を構える。
「よし、わかった!少し心苦しいが、アリス、堪えてくれよ!」
魔理沙が八卦炉をセットする。
「せめて苦しまないように…一瞬で刈り取ってあげるわ」
咲夜がナイフを手にする。
その時、アリスが少し寂しく微笑んだ気がした。
「恋符『マスタースパーク』!」
魔理沙が仕掛ける。
まともにくらったにも関わらず、アリスは人形を出しつつ
「戦操『ドールズウォー』!」
一列に並んだ12体の人形が一斉に弾幕を放つ。
慌てて退避する魔理沙。
「幻世『ザ・ワールド』」
咲夜が時を止める。そして人形につながる糸を断ち切ろうとするが…
(き、切れないですって?!)
ナイフを何度も当てるが切断できない。
(まずい、時間が…!)
5秒経過し、時止めが解除されてしまった。
アリスの目に咲夜が映る。
「白符『白亜の露西亜人形』」
あっという間に咲夜の周りに人形が設置される。
「まずいわね…奇術『エターナルミーク』!」
四方八方にナイフをばら撒いて、人形を破壊しながら突破する。
「宝具『陰陽鬼神玉』!」
霊夢が陰陽玉を大きくしてそれを飛ばす。
しかしー
「魔操『リターンイナニメトネス』」
霊夢の前にいきなり人形を出現させそれを爆破した。
「わっ!」
「霊夢!」
爆煙から転がり出てきた霊夢。
「こりゃ、まずいわね…」
「ああ…操られてるから防ごうとは全くしないし…」
「部分的とはいえ、紫様の能力を使ってきてる」
アリスの周りには紫のよりは小さいもののスキマがあった。スキマの設置には多少時間がかかるので霊夢達が来る前から既に準備していたのだろう。
「これ、どうすればいいんだぜ?…」
魔理沙がぼやいた。
【アリス・マーガトロイド】種族:魔法使い 能力:魔法を操る程度の能力、人形を操る程度の能力
人形を操って魔法を繰り出す。日常でも戦闘でも便利である。
日付が変わるまでに間に合わなかった…っていうか時間的にできないかなあと思うこの頃です。
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