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彼らの話している言語が私の知っているものではない。
それなのに、彼らの言っていることが理解出来た。聞いたことのない言語をちゃんと理解出来るなんて不気味だ。
……どうして? 今、私はどこにいるの?
ますます謎は深まっていく。……けど、今はそんなことを考えるよりもここから出る方が重要だ。
「え、お前、怖いこというなよ」
「いや、確かに動いてたんだって」
…………もう少し動いたら、気付いてもらえるかもしれない!
私は最後の力を振り絞って、必死に体を動かす。
もしかしたら、危険なものだと思われて刺されるかもしれない。それでも、何もしないよりかは良い。
揺れる度に全身に激痛が走ったが、必死に堪える。
「ほら、やっぱり動いてるぞ」
「ほ、ほんとだ……。何か動物が生きたまま捨てられたのかもしれないな」
「……病気を持った動物かもしれない」
気付いてくれた。
その安堵と共に私は力尽きる。もう目を開けることさえしんどい。
彼らがどんな人たちかどうか分からないが、悪い人ではないように思えた。最初に私を見つけてくれた男性の声はとても柔らかかった。
「動かなくなった」
「おい、もう放っておこうぜ。きっと、中で死んでしまったんだよ。俺、そんなの見たくないしさ」
だめ、行かないで!
私は心の中で叫ぶ。声はもう出ない。このまま死ぬのかと思うと息苦しくなってきた。
「せめて確かめよう」
その瞬間、体がぐらッと揺れた。体が痛い。吐き気がこみ上げてくる。
男性が片手でゴミ袋を掴んでいるのが分かる。
凄い力……。それとも私が軽すぎるのかもしれない。水すら飲めていないのだから……。
「まだ、息が聞こえる」と間近で透き通った声が聞こえた。
きっとこの人は私を助けてくれる。そう確信した。
「警戒しろよ」
「ああ、けど、だいぶ弱っているように思える」
そう言って、彼はそっと優しくゴミ袋を地面に置いた。
「他のゴミ袋は動いていないよな?」
さっきからゴミ袋に対して警戒している男性がそう言った。
その瞬間、私はゴミ置き場に捨てられたのだと認識した。ゴミ袋に入れられて、どこかに捨てられたんじゃない。
ゴミ置き場にいたのだ……。
その悲しさに胸が押しつぶされそうだった。そんなに私って要らない存在だったの?
泣きたいのに、泣く体力もない。
「開けるぞ」
少し緊張した声。
私も身構えてしまう。私にはもう戦える気力なんてない。もし彼らに刃を向けられたら、私は死ぬしかない。
力強くゴミ袋が掴まれて、ビリビリッと軽く破られる。……人の手でこんなに簡単に破ける袋だったんだ。
眩しい光が視界に容赦なく入ってきて、思わず目を細めてしまう。
「…………ひ、人だ。子どもがいる!!」




