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小さな輝星  作者: 翠雨
6/6

 次の日、朝起きていくと、まずはセレナさんが、

「あら?カンナちゃん。」

 自分の頭を指差してニコニコしている。そのあと、髪をかきあげて、耳を出すと、小さなピアスが光っていた。

 セレナさんの星ってことよね。

 ビーンさんはベルトに、フランクさんは帽子のブローチに、バスタさんは執事服のブローチとして、星がついていたのだ。

 すると、カイさんがやってきた。

 皆が頭を下げる。

「やぁ、皆、いつもありがとう。」

「カイト様も今日も一段と素敵ですね。。」

 え~!!カイト様!?バスタさんが後ろに控えているの見ると、だんだんとわかってくる。このお屋敷のご主人様って、もしかして、カイト様だったってこと??

 私が目を白黒していると、

「カイト様ったら、頑張ってご主人様って呼んでいたんですよ。間違えてカイト様って、呼んでしまいそうで、大変でしたよ。」

「すまなかったね。セレナ。でも、思った通りびっくりしてる。」クスクス。

「カンナ。間に合ったね。今日、僕は王都にいくけど、帰りたいかい?」

「えっと?」

「星は髪止めになっていれば、誰かに奪われることはないだろう。さぁ、行くよ。」

 まだ、よくわかっていない私を、セレナさんが簡単に荷造りして送り出してくれた。


 カイト様と一緒に馬車の中に乗るわけにはいかないので、御者の隣に座る。

 カイト様は帰りたいかと聞いたけど、ばぁちゃんには会いに行きたい。ただ、お屋敷でこれからも働いていたいのだ。あのとき、咄嗟に返事ができなかったけれど、私はもうお屋敷では働けないのかしら。だんだん悲しくなったきて、涙が落ちるのをこらえていた。

 馬車は貴族の家があるエリアの端、少しいけば貧民街があるところに止まる。馬車から下ろされて、これで最後になってしまうのかと、地面から目線をあげられないでいると、

「何て顔をしているんだい。僕は7日後に王宮をたつから、3日後の昼頃ここで待ち合わせしよう。それと、これを着ていきなさい。」

 腕のところに紋章の入った白いジャケットを手渡された。

「里帰りの時には常に身に付けているんだよ。」

「はい。ありがとうございます。」

 よかった~。まだお屋敷で働かせてもらえるようだ。

「カイト様、お見送りさせてください。行ってらっしゃい。」

 カイト様は白い歯を見せて、嬉しそうに笑った。

「僕が見送るつもりだったんだけど、じゃあ、いってくるよ。」

 馬車が見えなくなるまで見送ると、家に向かう。私が歩いて、森を抜けたことから場所を絞ってくれていたのだろうか。そんなに遠くない場所であった。

 ベイズおじさんの店の前を通ると、ベイズおじさんは「見違えたなぁ」と誉めてくれた。ショウが工房から駆け出してきて、「無事でよかった」と言ってくれたのだが、いつもと様子が違っていた。

 家の前まで着くと、ノックする。鍵がかかっていたので、声をかける。

「ばあちゃん、いる?」

 すごい勢いでドアがあいて空いて、ぶつかりそうになった。

「カンナ!あなたどこにいっていたの?そんなことより、夜に家から出してごめんな……。」

 私の姿を見たとたん、ばあちゃんは話すのをやめてしまった。

「カンナ、その格好どうしたの?」

 この街では浮いているくらい、きれいな格好をしていた。お屋敷にいたときの格好のまま、セレナさが送り出してくれたから、まぁ、そうなるよね。

 ばあちゃんには今まであったことを話した。助けてくれたのが、プリナシア領主の次男であって驚いたこと。お屋敷の人たちが優しくて、とても良くしてもらっていること。

 ばあちゃんは、泣いたり笑ったり忙しそうだったが、聞きおえると、優しく笑った。

 私は、3日後にカイト様の馬車に乗りお屋敷に戻る。ばあちゃんが一人になってしまうのは心配だが、お給料ももらえたし、また会いに来る。私がもっともっとちゃんと働いて、お屋敷の近くに小さな家を建ててもいい。

 まだまだ、がんばらなくっちゃ。

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― 新着の感想 ―
[一言] お星様がつないだ縁ですね。 ハッピーエンド良きかな!
2023/04/24 21:16 退会済み
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