4、気持ちの整理と到着
ゴブリンを倒し終えた俺だが、ようやく緊張がとけそれに伴ってゴブリンに止めを刺した瞬間がフラッシュバックしてくる。
手に残る感触、返り血等覚えておきたくもないのに鮮明な状況と、今俺の目の前で動かないゴブリン。
それらが全て嫌悪感となり襲ってきて、吐きそうになる。
いや、胃に中身があれば吐いていただろうが、幸いというか不幸というか現状は空腹で腹には何も入っていない。
お陰で吐きそうになるだけで吐けず、胃は収縮され体力が奪われる。
このままでは余計な体力を消耗し倒れかねないので、ゴブリンから人里の方へと離れる。
しばらくは蹲って動けなかったが、自分の中で整理がつき、気持ちが落ち着くと自分の身体の変化を感じた。
何となく先程のゴブリンとの戦闘前より身体が軽い。
もちろん、疲労感や空腹が無くなった訳ではないが少し歩き始めると、いつもより歩くスピードが早くなっている。
理由は良くわからないが、経験値的なのが入って身体能力が上がったのだろうと早々に考えるのを放棄して人里へと向かう。
ゴブリンを倒し、そろそろ日が完全に沈む手前になり漸く人里、といってもテントの集まりだがに着いた。
言葉が通じなかったらとか、警戒されたらとか不安はあったが、歩いてる途中でその場の流れに任せると決めた。
考えた所で答えは出ないし、このテントの集団が悪人であれば回避した所で食糧不足で死ぬし、言葉が通じなかったとしてそれが原因で争いになるならそもそもおしまいだ。
ようするになるようにしかならない。
とりあえずはいきなり戦闘とかにならないように、人の立っている所へと向かう。
恐らく見張りのような人なのだろう。
服装こそ軽装だが手には槍を持ってテントの間を移動しながらキョロキョロと辺りを見回している。
そして俺の存在に気が付くと
「ーー! ーーーー!」
と辺りに何か叫んでいる。
もちろん、俺に言葉が分かる筈もなかった。
ただ、辺りから見られる視線が増えた気がするので、恐らく警戒しろといったニュアンスなのだろう。
後半はわからん。
やがて見張りの人はこちらに槍を向けながら
「ーーー!」
と言い、警戒心を募らせる。
何者だ!?的なニュアンスだと思う。
何故予想できるのか、単純に道中であらゆる場面を想像したからだ。
そして、小説知識を頼りに+俺が逆ならどうするかを考え、返答を想像した。
それが今の状況だ。
いきなり戦いとか、襲われるとかが無かっただけ良しとして、いつまでもこのまま動かない訳にはいかない。
とりあえず無理だろうが、日本語で自己紹介をしてみる。
「私の名前は砂糖 利男です! いきなり知らない場所にきて困っています。 敵対するつもりはありません!!!」
と敵対の辺りで全力で土下座した。
相手から目を離すなんて、とか思わないでもなかったが、先程も言った通りそれで詰みならどうあがいても無駄だ。
なら、少しでも相手に信用される方が良いと考えて行動した。
すると、見張りの人が先程と少し違った声で何かを叫んでいた。
感覚で判断するなら動揺だと思う。
「ーー! 土下座ーーー、日本人ーー!」
俺はぱっと顔を上げてしまった。
聞き間違えじゃなければ、土下座と日本人と聞こえた。
つまりは日本語が通じる可能性がある!!
なんでかとかはこの際どうでもいいから、何とか会話できればと思ったが、ここで下手に動いて攻撃されては元も子も無いため、黙って状況が動くのを待つ。
すると、テントの中心部分から一人の男性が歩いてきた。
顔つきは優しそうで見た目は40代位だが、身体付きが凄まじい。
盛り上がった筋肉に、高い身長、恐らく2メートルくらい、それに背負っている大きい剣は俺よりも大きそうだ。
先程のゴブリンには立ち向かえたが、あんな人が相手だったら無駄だと思っても一目散に逃げただろう。
今度はこちらに聞こえない音量で見張りの人と男性が話していた。
こちらを見ながら話してるので俺の話題だろうが、耳を澄ましても聞こえてくるのは風の音と時折聞こえる知らない言葉だけだ。
やがて話が終わったのか見張りの人と男性がこちらへと歩いてくる。
見張りの人が男性を守るように前を歩き、男性が後を着いてくる。
そして槍が届くのより少しだけ離れた所で止まると後ろの男性から話し掛けられた。
「こんにちは、この言葉はわかるかな?」
俺は喜びのあまり全力で首を縦に振り
「はい!、わかります!」
と大声で立ち上がり、安心感と空腹と疲労により意識を失った。
最後まで読んでくれてありがとうございます!
日本語通じるのは後に理由を出します。
ご都合主義ですが、許してください、、、(T_T)
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