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そろばん教室の思い出③

作者: 紅井たま

 そんな日々が続いていたある日、ついに私がそろばん教室をやめる原因ともなった恥ずかしい事件が起こったのである。


 その日、私は三桁の計算を習い、ひたすらそれに関連した計算を解き進めていた。「簡単な問題しかないじゃん、楽勝楽勝~」と余裕綽々で問題を解いていたのだが、ある計算の途中で突然玉の動かし方が分からなくなり手が止まった。解けないなんて、そんなはずはないと思い、何度も初めからやり直したのだが、何度やっても分からない。仕方なく次の問題に進んだが、次の計算も同じように解けず、悔しくて泣きそうになった。


 さっきまで解けていたのになぜ少し難しくなっただけで解けないのか。私は先生に解き方を訊きに行こうかと思ったが、それだけはどうしても悔しくてできなかった。

 

 何度やっても解けず、どうしたものかと途方に暮れていた時、名案を思い付いた。そう、筆算である。

私はさっそく筆算を書き始めた。当時塾でとっくに習っていたため問題はなかった。私はなんて頭が良いんだろう。塾に行っててよかった。そう感じながら一度筆算を使い始めるともう歯止めが効かず、私は調子に乗ってそこから後の問題も全て筆算で解き始めた。


 全問正解すると怪しまれると思い、ケアレスミスを装った間違えも入れてみせた。それでもやはり少し後ろめたさがあり、時折ばれていないかどうか先生を確認し、意味もなくそろばんをパチパチと鳴らしていた。

 

 私は少しどきどきしながら先生に問題集を見せた。問題集には答を書くだけなので筆算を使ったかどうかまでは先生には分からない。念のため筆算も薄く書き、その跡もしっかり消したためばれる心配はない。

 先生は私の解答を一通り見て丸つけをし、「よく解けたなぁ!いくつか間違えているが、ミスには気をつけろよ」と言った。私は安心し、先生にばれなかったことでさらに調子に乗った。


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