マジで死ぬほど、うんこ
将太は絶望した。
もし、彼に対して幾ばくかの慈悲が与えられれば……そうだ。多くのことは望んでいなかったのだ。
たった少しの優しさ。それだけでよかった。
それは、彼にとって大事な任務の最中であった。もとより嫌な予兆は数多くあった。結果として、時間がなかった。何事より任務を優先するべき状況下で、取れる選択肢は多くない。
だが、その少ない選択肢のなかに、まだ絶望への道を回避する手段は残されていたのだ。
将太一人の力では不可能だ。先輩の協力がいる。協力というのは少し大袈裟かもしれない。先輩に求めたのは、ただの許可にすぎない。
一言。そう、一言だ。
「ここは俺に任せて行ってこい」
その一言があれば、彼は救われた。
だが、無慈悲にも、将太に与えられたのは不許可の3文字であった。
先輩を恨むことなかれ。先輩は将太に取りついた死神のことを知らない。知られてはいない。ならば、平時と同じ判断を下すしかない。通常任務中の離脱は、何があろうと許可されない。何よりも、今回の任務は猫の手をも借りたい状態だった。
たしかにそうだ。将太が逆の立場でもそう判断するであろう。
あらゆる要素が……不足の事態が……将太を死地に追いやった。死地とはもちろん比喩だが、あながち間違いではない。
絶望。圧倒的、絶望。将太は死の影がゆっくり近づくのを感じ、それが間違いなく自分に届きうることを確信した。
だが、決して将太はすべてを諦めてはいなかった。
彼は真に誇り高き戦士であったのだ。
将太が死ぬのはもう避けられない。それは、すでに確定事項である。だから、決して自分の最後を回りに悟られないよう……最後の審判を下した先輩が、罪悪感を感じないようにするために、残りのすべてを捧げた
命は諦めた。だが、誇りだけは護る。さあ来いよ、化け物。
死はもうすぐそこまで来ていた。