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いつか語られた物語  作者: 祝子 紀
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第9話

瑪瑙(アゲート)型混合属性人造魔石



誰しもが状況に応じた行動をとれると思うなよ   たたき上げの騎士隊長



 走ることがこんなに楽しいと思ったことは私の人生の中で今までなかったのではないかと自分でも思うほど体が軽かった。


 マッドっぽい師匠(せんせい)と呼ばれていた青年の手をすり抜けてあの場から廊下と思しき場所をひたすらに走り抜けて少し頭が冷えた私が最初に思ったことは自分は今どのような状況にあるのかことであった。


 先ほどは混乱の極みにいたと自分でも思うが仕方ないだろう自分が最悪、実験用のモルモットかマウスのような扱いをされると感じていたら悠長に自分の周りを見る余裕などないのだから仕方ない。


 さてとまずは己の今の様子を冷静に見てみるかとふと廊下の突き当りに鏡のある洗面台があり近くにトイレがあるのかと思いながら鏡に映る自分の体を見ると驚愕に目が泳いだ。


「なぁっ!なによっこれ!」


 普段と変わりないはずの自分の体がそこにうつっているはずがサイズが全くあっておらず胸元が大胆に開きっぱなしのシャツとぴっちりとした状態のズボンを着た痴女のような服装の自分が鏡に映っているだが自分が一番ショックを感じたのはそこではない、鎖骨の中心から下の心臓の真上にあたる胸の中心部分にぴたりとはまり込むようにつるりとした楕円形の青と白のマーブル模様の縞瑪瑙のような宝石っぽいものが自分の皮膚に張り付いていたのだ。


 慌てて宝石のようなもの触って引っ張ると周りの皮膚も引っ張られて痛く感じてそれ以上触るのをためらってしまうだが、これが自分の胸の間に埋め込まれているのが不気味なものを感じて無意識にひっかいてしまったが胸の周りの皮膚が赤くなるだけでそれでも取れないのに無意識に涙目で混乱した。


「もうどうしろっていうのさ………」


 混乱はしていたがこれ以上どうしようもないのはファンタジーはゲームの内容しか知らない私でも察しが付くもので、ここでグダグダしていてもあのマッドな青年が追いかけて捕まえてくれというものだと思い開いていたシャツのボタンを無理やり閉めてパッツパツながらも石が目につかないようにしてまた走り出した。


 時刻は夜なのかあたりは暗く心細い、ネガティブな思いな自身の胸によぎるがそれでも必死に出口を求めて走り回る。


 ふとT字路を抜けた先に夜空の見える窓ガラスが見えた。


 しめたと思い萎えそうな気持ちを奮い立たせ窓に近づく、近づく途中ではめ殺しの窓であることに気づくが道具でも使って割ればいいと考えてさらに近づいたときに目に窓の外の光景が入ったことで自身の逃亡がいかに無駄であった完全に察してしまった。


「嘘…でしょぉ…」


 窓の外の光景は一面の雲海と星空そして優雅に空を飛び雲海に出たり入ったりを繰り返しているキラキラと様々な緑色の光を放つ巨大なうろこに包まれた蛇のような生き物が移っていた。


「まさか、CGだよね…確かにはっきり見えてるけど(ドラゴン)だって私の幻覚じゃ…」


「さてどこに行こうともゴーレムというものは必ず主人の呼び出しには応じるものだよ」


 突然自分の耳にあのマッドな青年の声が聞こえたと同時に目の前がぐにゃりと歪み慌てて、バランスを崩す間もなく空中に放り出されるがしっかり二本足で着地できたことに疑問が残る。


 私こんなに運動神経良かったか?


 などと馬鹿なことを考えている余裕もあった時に気づく今いる場所は自分が最初に目覚めたところだと。


「それじゃあ、もう一度改めて自己紹介から始めようかい?ファ・ミ・リ・エ・君」


 あの青年と少年ももちろんのようにそこにいた。


「ええ、どうやらここから逃げ出そうにも普通のやり方じゃ無理そうですしね」


 私は覚悟を決めて二人に話しかけた………浮かべている笑みにほほの引きつりを感じてはいたが。


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