プロローグ
初めての投稿なので読み難いかもしれません。ご容赦ください。
ニアレスト王国の王城の一室に、国王と4人の王子、そして4人の貴族当主が集められた。
「今からお前達4人を私の信頼する家臣達に預ける。それぞれの領地にて勉学に励め。そして10年後、お前達の中から最も相応しいと思う者に王位を譲る。
末の王子が15歳の成人を迎えると共に選定の儀式を行う。多くの経験を積み、国を良く治められる君主となれるよう健闘を祈る。
誰がどの家に預けられるかは、これから話し合って決めてもらう。」
話しは以上だ、と書記官だけを残して王は退出した。
僕ら王子は4人とも、事態が飲み込めずポカーンとしていた。
話が急展開過ぎるのでは?説明が、あまりに、少な過ぎる。
僕たちの混乱が収まったのを見計らって小太りな公爵家の当主が話し始めた。
「では、これから誰をどの家で預かるか決めましょう。我がアーネスト公爵家としては是非ともハインツ殿下に来ていただきたいと考えておりますがいかがでしょうか?」
第2王子であるハインツ兄上はこの誘いに是と答えた。
「おお、それでは我がバスラー侯爵家はアルブレヒト殿下をお迎えいたしましょう!」
第1王子がであるアルブレヒト兄様も「よろしくお願いします。」と答えた。
「では、ペーテルゼン侯爵家にはヴェルナー様をお迎えしたい。」
それぞれの家の当主たちが次々に王子を指名していった。父上は話し合って決めろと言っていたと思うんだが……。
最後に残ったカーライル伯爵家の当主が、やれやれといった具合に苦笑いしながら僕に話しかけてきた。
「まったく、みんな王の話を聞いていなかったのかな。すみませんジークフリート様。どうやら彼らの中では誰を預かるのかは決定事項のようです。余り物で大変申し訳ありませんが、我がカーライル伯爵家に来ていただけませんか?」
「いえ、こちらこそあまりものでもうしわけございませんがよろしくおねがいします。」
そう言うと伯爵はタレ目を少し見開いて、そしてフッと笑うと手を差し出してきたのでそのまま握手を交わした。
あれからすぐに旅支度を済まし、馬車でカーライル伯爵領へと向かうことになった。
「改めまして、ジークフリート様のマナーや武術、魔法、健康のサポート等をさせていただきますスヴェン=カーライルと申します。これからよろしくお願いいたします。」
「こちらこそよろしくおねがいします。ぼくのことはジークとよんでください。」
「ではそのように。まあ、サポートすると言っても私はほとんど何もしません。勉強等は全て娘に一任しようと思っています。」
え?
「心配しなくても大丈夫ですよ、娘は天才なので!」
彼はドヤ顔で親指を立てて言うがちょっと待って欲しい、
「先生をやとうのではなく、はくしゃくけのひめぎみがですか?」
「ええ、その通りです。我がカーライル伯爵領においてあの子以上に素晴らしい人物はいません。ジーク様もきっと多くの事を学べることでしょう。もうそろそろ伯爵領に着きますから、外の景色を良くご覧になってみてください。」
言われるがまま外を見てみる。
最初は何が言いたいのか良くわからなかったが、よく観察してみるとわかった。
「まちが、おうとでもないのにきれいです。ふつうはちほうに行けば行くほど少しずつあれるのに。それに、まちの人たちはけんこうそうだし身なりもきれいです。きょねんは国中でびょうきがりゅうこうしていたはずなのに。」
「それもこれも、全て娘のおかげなんですよ。どうしてかという理由については娘から直接教えて貰ってください。」
ただの伯爵領にしてはとても栄えている印象を受けた。いったいどんなご令嬢なのだろうか。
宿で一晩明かした後再び出発し、午後になり漸く伯爵家の館に到着した。
「「「「お帰りなさいませ旦那様」」」」
出迎えたメイドや使用人たちが一斉に頭を下げた。その中からロマンスグレーの髪を後ろに撫で付けた年配の男性が出てきた。
「お帰りなさいませ旦那様。そしてようこそお出でくださいましたジークフリート様。私このカーライル伯爵家にて家令を任せられております、ベンノと申します。以後お見知りおきを。この度は長距離の移動、大変お疲れ様でございました。」
「これからおせわになります。ぼくのことはジークとよんでください。」
「ではそのように呼ばせて頂きます、ジーク様。」
挨拶を終えると、伯爵が辺りを見渡しながらベンノに問いかけた。
「ところでベンノ、スイはどこにいる?」
「お嬢様でしたら、昨日から国境沿いの山道で起きた土砂崩れの原因究明、土砂の撤去作業に向かわれております。既にこちらから連絡を送っていますのでもうそろそろお戻りになる頃かと。」
ご令嬢にしてはずいぶんとフットワークが軽いようである。
その時突然、上から声が聞こえてきた。
「お父様!」
驚いて空を見上げてみると、空に魔方陣が浮かび、そこから人が降ってきた。
「出迎えが遅れてしまい申し訳ございません、お帰りなさいお父様。」
「ただいま、スイ。紹介しよう、こちらは第4王子であられるジークフリート様だ。成人を迎えるまでの間この伯爵家で預かることになった。スイには王子の教育係りになってもらう。」
わかりましたお父様、と言うと、彼女は呆ける僕の方を見た。そして、貴族が着るにはあまりに簡素なワンピースの裾を持ち、まるで教本のような美しいカーテシーをして、
「お初にお目にかかります。私カーライル伯爵の娘、
名をスフィーリアと申します。これから殿下の教育係りをさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。」
「こちらこそ、よろしくおねがいします…」
僕がそう答えると、伯爵と同じ若草色の目を細めて彼女は笑った。
このスフィーリア=カーライルとの出合いが、僕の運命を大きく変えることとなる。




