第00話_温泉
高校生の僕は今、温泉に入っている夢を見ている。
なぜ夢だと分かっているのか? その理由は後で述べる。
今はそれどころじゃないのだ。
なぜなら――温泉が、ほんのりと温かくて。
なぜなら――お湯がチャプチャプしていて。
なぜなら――弱アルカリ性のヌルヌルした質感が気持ち良くて。
……うん、夢の外では確実におしっこ漏らしているだろ、コレ。
大国主明こと17歳、今、猛烈に泣きたいです。
◇
幸か不幸か、温泉の夢はまだ続いている。
なぜ夢だと分かっているのか? その理由は目の前にあるモノが原因です。
猫耳の女子中学生みたいな美少女、1名。(猫尻尾付き)
犬耳の女子中学生みたいな美少女、1名。(犬尻尾付き)
鬼角の女子中学生みたいな美少女、1名。(尻尾無し)
兎耳の女子中学生みたいな美少女、1名。(尻尾無し)
――はい、温泉なので全員全裸です。
すとーん。
ぽにゅ。
たゆん。
たゆんたゆん。
あえて“何が”とは言いません。
でも今は、3次元で鑑賞できるこの瞬間は――目の保養をさせて下さいっ!
「ヌシ様、何で固まっているにゃ?」
猫耳少女が首を傾げる。くりくりっとした瞳がとても可愛い。
「ご主人様、どうかしたわん?」
犬耳少女が首を傾げる。ちょっと気の強そうな釣り目がそそられる。
「固くなって良いのは、ココだけだろ?」
鬼角少女が――って、止めなさい。手を伸ばすのは!
「ぅふふっ♪」
兎耳の美少女が妖艶に微笑む。はい、たゆんたゆんな“破壊力”が凄まじいです!
夢だとは分かっているけれど、心の中で叫ばずにはいられない。
「お○ぱい最高っ!!」
――あれ? 美少女達に、めちゃくちゃジトっとした目で見られた。
僕の夢、超リアル(Tω)
大国主明こと17歳、心に傷を負いました。
ダメージが大きかったのか――視界が、ぐらりと大きくブレた。