第九話
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冬真「由紀、大丈夫?」
由紀「……」
雨も強くなり、なんとなく気になって
由紀が集合場所だといったところに向かった。
びしょ濡れの由紀がいた。
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銀太「冬真!これ!」
走ってきたからか、銀太の持っていた紙袋は、少し濡れていた。
冬真「ありがとう。由紀、着替えきな。」
うなづくだけ。
紙袋を渡して化粧室に行かせた。
銀太「タオルと今と似たようなワンピース買っといた」
冬真「うん。」
銀太「どうしたんだろうな」
(集合場所と時間…二週間前くらいから言ってたから間違えはないと思う。だったらなんで1人でいたんだ。)
銀太もなにか考えてる。
なにかがおかしい。
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由紀が化粧室から帰ってきた。
僕と銀太は由紀を見た。「大丈夫だよ」、
下手な作り笑いで誤魔化す。
冬真「何があったの?」
優しいく柔らかく聞こうとしたのに、
出てくる声は刺々しかった。
由紀「私が場所か時間間違えてたみたい…」
銀太「そんなはずないよ…だって、」
冬真「銀太。」
僕は銀太の声を制した。
(由紀だって分かってるはず。今はそれしか頼れる事がない。)
冬真「そうだ、後で、街を歩いてみない?」
由紀「え…?」
冬真「銀太と2人だと、むさ苦しくてさ!」
銀太「そうそう!紅一点が欲しいの!」
今は由紀に元気を取り戻してもらうしかない。
銀太も意図をわかってくれたようだ。
冬真「ココアでも飲む?」
由紀「うん…」
雨はまだ止みそうになかった。
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