第七話
-------------
アラームの音で目が覚めた。
空は灰色、まだ夜のようで、二度寝したい目を擦りながら、布団からでる。
梅雨の異常な湿度と、生温い暑さ、僕の首にはべったりと汗が流れている。
(シャワー浴びよ。)
いつもより冷たいシャワーで眠気もとび、
出かける支度をする。
(今日は、由紀が親睦会で遠くまで行くので、
その付き添い。ついでに銀太もか。)
ピンポーン。
銀太「冬真ーー!」
(チャイムか、大声かどっちかにしてほしい。うるさい。)
小走りで玄関に向かう。
冬真「おはよう。」
銀太「おはよ!」
学校に行く時と同じように、でも、今日は少し違う。
冬真「なんだその髪の毛。」
真っ黒で、ショートカット、前髪をハーフアップにしてた銀太からは想像できない。
茶色になった髪、前髪もあげてないようだ。
銀太「梅雨で気が滅入るから、明るくしてみた!」
冬真「……」
銀太「ダメか?」
(違和感しかない)
冬真「行くか。」
銀太「なんか行ってよ!」
冬真「……」
チャラい富田 銀太が生まれた。
-------------
二ノ宮の表札がある前にすでに由紀は立っていた。
制服より短い薄い黄色のワンピースの丈に、露出された肩、ポニーテールに結ばれた長い髪。
銀太「由紀ちゃん!おはよ!」
冬真「お、おはよ…」
(私服、久しぶりに見たな。やっぱり由紀は可愛い。)
由紀「富田君?!びっくりしたー!」
銀太「良いでしょ!由紀ちゃんも私服可愛いね〜!」
冬真「……」
(可愛い…なんて言えない。)
由紀「あ、時間ない!行こ!」
小走りでバス停に向かった。
僕達の家は田舎にある。今日、集合の駅までは1時間もかかる。
空はどんよりとした灰色に覆われてる。
まだ雨は降らないらしい。
(由紀が帰るまで降らないと良いな)
-------------