第三話
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チャイムの音がなる。
私は大きな紙袋をもって席を立ち上がった。
「由紀ちゃん!どこいくの?」
よく話しかけてくれる前の席のオシャレな女の子。
良くしてくれているけど、少し怖い。
由紀「友達と昼食一緒に食ベる約束してて。」
「えー?今日はクラスの女子全員で食べるから、断わってよ!」
周りにいるクラスの女子は、目を伏せている。
(どうしよう。先に約束したのは、冬真と富田君だから…)
由紀「ごめんなさい。また今度一緒に食べよう!」
(後でちゃんと説明しよう。)
私は教室をでて、2人に会いに行った。
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(朝、中庭で食べるって言ってたから…)
桜の花びらが風に舞っている。
桜の樹に囲まれた中庭の真ん中には池があり、
水面に浮かぶ桜の花びらで、『桃色の池』が造られ、桜一色の中庭。
幾つかあるベンチの1つに2人は座っていた。
銀太「由紀ちゃん!こっち!」
富田君の手招きする方に行く。
冬真「場所取りしておいたよ。」
由紀「2人共、ありがとう!」
銀太「いえいえ、じゃあ食べよう!」
(冬真も富田君もニコニコしながら、座ってる。少し汗かいているから走ったんだ。悪いことしちゃったな。)
少し悪い気になりながら、紙袋に入ったお弁当箱を取り出した。
冬真「僕達がここに座りたかっただけだから気にしないでね。」
由紀「……うん。」
(考えてた事全部わかっちゃうんだよね。)
少し嬉しくも恥ずかしくもあった。
銀太「この卵焼き、すごい美味しい!」
由紀「ありがとう!」
冬真「この唐揚げも本当に美味しい!」
由紀「ほんと!?」
銀太「本当だ!唐揚げ、難しいのに!いいお嫁さんになれるよ!」
由紀「え…あ、ありがとう!」
冬真「家のより美味しい。」
由紀「良かった!」
(冬真と富田君の褒め言葉、嬉しい!)
楽しい昼食が過ぎて行き、クラスの事は
すっかり忘れてしまっていた。
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