第一話
ここは長川高校東校舎三階、階段登って左に三つ目の教室。三階で三つ目だから覚えやすい。右とか行っちゃったら漫画研究部にたどり着いてしまうのだけれど。
ここは漫研部ではない。もっと、世の中に広がっている様々な種類の謎を解き明かしているのだ。
例えばそれは、長川高校にまつわる七不思議とやらであったり、生徒たちに起こる異常現象であったり、突如河原で発見された変死体であったり……、って最後のはちょっとマズい。それは、素直におまわりさんにお任せすることにしよう。あ、ちなみに前の二つに関しても、そんなのがあるなんて聞いたことはありません。あくまで、例えだからね!
とにもかくにも、そんなこんなをあれやこれやであっちこっちに行って解決する、それがここ、長川探偵事務所なのである。
所長は神先拓斗。弱冠十六歳で、名探偵の名を欲しいままにしている。解決した謎は両手の指では足りないほどである。足の指を加算するとおそらく足りる。
しかし、そんな名声も彼一人の努力によって成し遂げられたわけではない。彼を支える数多くの優秀な人材がいたからこそ、彼は謎を解き明かすことができたのだ。
その優秀なスタッフについての紹介を是非ともしたいところではあるが、後々紹介する機会もあることだろう。今は、局長の紹介をもってこの事務所の紹介とさせてもらうことにしよう。
こちら長川探偵事務所。あなたの身の回りの謎、解明します。