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こんな現実、妄想であってほしい。それか夢であってほしいと願う。


うめくらげです。

短編めざしてます。下手です。

指差して笑ってやってくださいね。

これの話の次が、解答? みたいになってます。

こんなんですみません。

よければ、九話、お読みください。




七月五日・天気・快晴




それはあまりに突然すぎて、慟哭(どうこく)することも消失に嘆くこともできなかった。


ウィルソンが、死んだ。


死因は転落死だと告げられた。

発見した人によると、ウィルソンは顔から落下したらしくて、顔面は潰れて、衣服以外で判別できなかったと。

僕は小さな望みとして、顔面がないのだからウィルソンじゃない誰かだ、と反論した。もちろん、腕のホクロの位置で、そんな儚げな希望はうち消されたけれど。

悪い夢だと思って、いつも通りに学校へ行けば、必ず賑やかだったというのに、静まりかえった赤坂くんのまわり。

赤坂くんは友人たちにかこまれて、えんえんと泣いていた。それこそ号泣という例えが正しい、大粒の涙で頬をぬらして。

泣けない僕はどうかしてる。

とくに接点のなかった子まで、もらい泣きしてるのに。

泣くどころか、面倒ごとがなくなって心が軽くなったようだった。

これから仲良くなるはずだった。

会って、まださほど日が経っていないせいだろうか。

泣けないんだ。

自分の虚無感を癒したくて、泣こうとすればするほど吐き気が襲ってくる。どれだけ吐き出しても、心はさらに空白をうったえてきて、とてもよく晴れた空の青さに憤りを感じた。

アクビが出ると涙がにじむのに、ウィルソンのために泣いてあげられない。

これは、なんだろう。そういえば、昔にもこんなことがあった。

悲しいのに、涙はおろか声すら出なくて。ただ、空気読めずの空が青いことに怒っていた気がする。

いまとおなじ。

あぁ。

そうか。

これが、悲しみなんだ。

「悲しいよ、きみがいなくて悲しいんだ。きみのことなにも知らなかったのに」

クラスも趣味も性別も好きな色も好きな歌も好きな教科も嫌いな教科も特技も夢も好きな人も昨日見た夢も一昨日見た夢も家族構成も好きな番組も好きな国も好きな、好きな、好きな。

なんにも知らない。

カラカラと、かわいた笑い声が出た。

壊れた扇風機だって、こんな音は出さない。こんな虚しい音は、人間からしか生まれない。

僕はさびしい人間だ。

誰よりも平凡な、どうしようもなく、くだらない、人間だった。


それは初夏の不思議な日。


僕は、心の扉を閉めた。





同日・天気・快晴



「ごめん、なさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、ごめんなさい」

嗚咽まじりの声。

ひどい泣き顔だった。

「村上さんが、どうして謝るの」

どれだけ問うても、村上さんは泣いて謝り続ける。

僕が、ぼぅと公園でブランコに乗っていると、どこからか村上さんが現れて、僕のぶんまで泣いていた。

彼女に水分をすべて持っていかれて、泣けなかったのかと思うほどに。

「ごめんなさい、ぜんぶ、わたしの、ごめんなさいごめんなさい、会わせたから、わたしが」

壊れてしまった人間みたく、言葉を無意味につなげている。

喉がかれて、普段とは正反対にとり乱した姿。

そんなに泣かれると、よけいに心が乾ききってしまう。

「村上さんのせいじゃないよ。村上さんに紹介されなくても、きっとどこかで出会って、この結果が生まれてた」

「そんなわけないの……」

さすがにうっとうしくて、僕はブランコからおりると、村上さんとむきあった。

「グズグズうるさいなぁ、そんなに泣きたいなら赤坂くんと泣きなよ。それとも、わざわざ僕に泣き顔が見せたいの」

村上さんは、なんどもかぶりをふる。そんなんじゃない、と。

そして、涙を手のひらで乱暴にぬぐいながら告げた。

「わたしが、あの子を呼んだのよ……あなたを、傷つけたくなかったのに、自分勝手なことを」

言葉の真意が分からなかった。

「あの子は、あの子はね、わたしの--」


願いから、芽吹いた子なの。


そんなことを、真剣な顔して言ったんだ。

願いから芽吹いた、って、そんな夢物語。いまどきの学生に通じるわけがない。そもそも、願いで染色体異常でも起こさせて、人型の生命体を作らせただとでもうそぶくのか。

「子供の頃を思い出して。あなたが、うんと幼かったころの記憶を」

「嫌だよ。どんなに思い出しても、死体の顔しか出てこないから」

「死とは真逆のもの。生命のはじまりを思い出して」

彼女の言葉が宗教団体の勧誘に聞こえて、気分が悪くなった。

生命のハジマリ。

そんなもの地球に聞いてほしい。キリスト教徒にでも聞いてほしい。

僕に問うこと自体がまちがいだ。

すべてがそう、僕の人生は死で埋めつくされている。ほど遠い、生まれるという出来事。

死体の反対側にあるものなんて、生まれたての子供くらいしか思いつかない。

生まれたばかりの、弱い子供。

うまれたての、こども。


「赤ちゃん」





どれほどぶりかの言葉は、僕の体に痛みのような波をおこした。















何かを失うと、世界中から水の音がするんです。

そんなかんじを出せたらいいのにな。

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