仲の良かったウサギとカメ
初めて投稿します。童話のジャンルにしたかったのですが、子供たちの手本となる自信がなかったのでやめました。
昔話「うさぎとかめ」は有名な物語です。
「ある日、歩みののろい亀を兎が冷やかしました。どうしてそんなにのろいのかと。亀は競走を挑みました。もちろん兎は自信満々、かけっこが始まるとどんどん亀を引き離します。さて、ちょっと一休みするか。ところが居眠りしてしまい、目がさめたら亀はもうゴール寸前。あわてて追いかけたけど間に合わず、兎の負けとなりました」。
その物語をいっしょに読んだ現代のウサギとカメ、互いに顔を見合わせて大笑い。
「ねえ、カメさん、そんな競争っておかしいわ」
「ウサギさんの言うとおりだね。僕だったら寝てるのを起こしてあげるよ」「カメさんは親切だから。私が起こされたら感謝するわ」「でもそんなことより、カメさん!私たちって元々生まれも生き方も違うものね。そんな競走してなんの意味があるの。カメさんは海で暮らして上手に泳げてうらやましいわ」
「ウサギさんこそ野原を自分の庭のように自由に動き回っていいなあ」そんな互いにいつも仲良しのウサギとカメ、お互いに知らない世界を知り合ってとっても楽しい毎日を過ごしました。
そんなある日、
「ねえ、ウサギさん!僕たち結婚しようよ。このまま友だちのままじゃつまらないよ」
「そうね、私はその言葉を待っていたの」とウサギも乗り気です。
結婚式にはウサギとカメの仲間が大勢出席、お祝いの言葉をたくさんもらいました。まずはめでたしめでたし。 結婚生活は順調に始まりました。
「ねえ、こうやって野原で暮らしていると意外と大変だね。君がいて助かるよ」
「そうよ、お互い助け合えば幸せ!たまには海のものが食べたいでしょ」というが早いか海の幸が食卓に。さすが足は速い。
「たまには海を案内するよ」「まあうれしい!」ウサギは海の生活も気に入ったようです。陸と海をいったり来たりの生活となりました。
結婚してしばらくたちました。ウサギはいらいらするようになってきました。海ではあんなにかっこよく頼りになるカメが陸ではまるでだめで、ただ床をはっているだけ。一方、ウサギは海で少しでも泳ぐとすぐに出たがります。
「ねえ、私たち別々に暮らさない?」と言いたいところをウサギはじっと我慢。
「海で潜ることをもっと覚えなさい」と言いたくなるところをこれまた我慢。無理ですよね。
それでも二人は互いに努力しました。ウサギは泳ぐことも上手になりました。でも潜ることは無理でした。カメは走ることはできなかったのですが、練習した甲斐があって足が長くなり歩くことはどうやら速くなりました。
何年も経ちました。ウサギはもう昔のように速く走ることはできません。カメも海で泳ぐことはできても潜ることは苦手になってきました。二人とも似たり寄ったりになってきました。それからは?
気が合って仲良く暮らしたとのことです。さらにそのあとは?
ウサギは年を取るのがカメより早く、おばあさんになってしまいました。カメが年を取るのはゆっくりです。カメはウサギの面倒をみて一生を過ごしたそうです。
(終わり)
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