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1話 俺の彼女は笑わない

 青春時代の恋愛は人生において重要かつ貴重である。特に、中学から高校の間にはほとんどの人が付き合っていたりする。カップルがたくさんいるが、それぞれいろんな特徴のカップルがいる。いつも明るく仲がいいカップルや喧嘩は多いがなんだかんだ仲がいいカップル、対照的な2人だったり。好きな人のタイプだって人それぞれだ。自分のやりたい恋愛をすることも人それぞれだ。

この物語はなかなか見られない付き合っている2人の話である。

 桜の並木道、春風が吹き舞い散る桜の花びら。そして桜の花びらをゆっくり静かに流す川の流れ。都会でもなく田舎でもないこの町が一番心地良い。桜の木の下で徳山 春陽はるひは待ち合わせをしていた。

風が吹き桜の花びらが散っていく様子を見ながらその時を待っていた。

「お待たせ。」

「よし。行くか。」 

 

 俺は徳山 春陽。この春から高校生のごく普通の生徒である。そんな俺だが彼女はいる。もう一度言う、彼女はいる、そう俺の隣に。よく考えたら俺でも彼女はできるんだな。ちなみに彼女の名は島田 冬華ふゆか。誰がどう見ても美少女と言ってしまうほどの美しさである。それに加えて勉強ができる。運動は分からないが。そんな彼女だが、俺を悩ませている事がある。

「入学式楽しみだな。一緒のクラスだったら良いな。」

「そうね。」

「…っと、どうせなら楽しい学校生活にしたいなー。冬華はどう思う?」

「私もそう思う。」

「そうだよな。…」

「…」

(くっそー会話が続かない。と言うか一回も表情が変わってないんだけど。本当に楽しみなのか?)

俺の彼女は良く言えばクールなのだが、悪く言えば無愛想な女子と言えるだろう。学校トップクラスの顔の良さを持つ彼女なら普通もっと明るい雰囲気で1軍女子と言われて当たり前なのだが、このような性格だ。中学生の時は他の女子からは結構嫌われていた印象があった。「顔がいいからって調子乗るな。」とか言われている事が多かった。逆に男子からは、意外とクールな彼女に惹かれる生徒が多かった。俺もそのうちの1人だ。

「ていうか、なんで俺が付き合えたのだろう?」

勢いのまま告白したらまさか成功してしまって今に至る。告白して良かったとは思っているけどなんで冬華は俺なんだろう。告白するまでは何もかもが普通だった。今では冬華の彼氏に似合うように見た目から勉強、スポーツも頑張ってきた。けれどあまり変わらなかった。付き合い始めた頃はコイツが付き合えるとかあり得ないとか似合わないとか言われてきた。彼女の株を下げないためにも努力してきた。でも変わらなかった。だから俺は今の自分で冬華を全力で彼氏として過ごしていきたい。けど本当に俺のこと好きなのか?

「俺ってそんなにダメかな?」

ボソッと小声で独り言を呟いた。

「そんなことない。」

「ん?何か言った?」

「何でも無い。」

「そうか。」

声が小さすぎて何も聞こえなかった。まあ不安が大きいけれど高校生活楽しむしかない。俺は力強く歩き出した。それに気がついたのか冬華はこっちを向いていた。

「…」

「…」

俺たちの高校生活は本当に大丈夫なんだろうか。その後も無言が続きいつの間にか門をくぐっていた。


「えーっと俺の名前は…あった、2組だ。」

「私も2組。」

「やったー。一緒のクラスじゃん。」

「そうね。」

「嬉しく、…ないの?」

「嬉しいよ、とても。」

「そうには見えないけど。」

「心で喜んでいるから。」

「よくわからないけど嬉しいなら良いや。」

(やっぱり無表情なんだよなー。)

いつものような顔を浮かべていた。少し油断していると教室へ向っていた。慌てて追いついたが、冬華は何を考えているのか分からない。どうしてそんなに俺と話してくれないのだろうか。理由を聞きたいけれど、聞きにくい。

 教室へ着くとすでに多くの生徒がいて仲良く喋っている。

「友達できるの早いなー。ていうか元々友達だったかもしれないか。」

もうグループが出来ているところもある。1番盛り上がっているところはおそらくサッカー部の連中とそれに仲が良い奴が加わった感じだろう。今後クラスの中心的存在になる人達を左目で見ながら席を確認する。少し立ち止まっていたせいか冬華はとっくに席を確認して席に向かって歩いている。

(相変わらず少し目を離したらいなくなってるよ。)

俺も席を確認する。真ん中の後ろだった。これは当たりだ。しかも隣は冬華だった。

(なんてついているんだ。こんなの漫画でしか見たことがないシチュエーションじゃねーか。)

とても気分が良くなった春陽は勢いで冬華につい喜びをぶつけてしまった。

「隣の席だ。めっちゃ嬉しいよ。」

「良かったね。」

「本当…良かった。」

(あぶねー。大声で叫びそうだった。それに冷静さを失っていたな。冬華はこんな時でも笑わないか。これって本当に俺を彼氏として見てくれているのか?)

例えこれが塩対応だったとしても流石に彼氏として辛いな。理想はもっと甘えてもらいたいくらいだ。

とりあえず席は隣。

「これから頑張って冬華を笑わせるんだ。」と言っても自信はない。だけど俺と冬華の高校生活はこれからスタートだ。誰よりも楽しく過ごしてみせる。

 

今2人の物語が始まった。


雨見零です。新しく作った物語です。恋愛というジャンルに挑戦しようと思いました。どんな内容にするのか、どんなタイトルにするのかとても悩みました。これから先展開が読めないような物語にしていけたら良いなと思います。良い作品になるように頑張ります。

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