ある青年との出会い
私は連日のパーティ通いで疲れていて肌もボロボロだった。そして何より婚活がうまくいっていないことに落胆していた。
そこで私は次にノーマル王国に行くことにした。ノーマル王国には温泉があり、休息にはもってこいの国だった。
この国にはまだ結婚していない王子がいるとのことだが、情報が一切入ってこなかった。
私はこの国でゆっくり体を休めながら情報を集めることにした。たまに情報を集めるためにお城の周りをウロウロしたが、あまり情報が出てこなかった。
ある日お城の周りを歩いていると一人の青年に声を掛けられた。身なりからして上流貴族だろう。年の頃は同い年くらいだろうか。
「この辺りに薬を売っているところを知りませんか。」
「薬局ですか、この道をまっすぐ行って右に曲がったらありますよ。私の泊まっている宿の近くなので案内しますよ。」
「ありがとうございます。助かります。」
そして他愛もない会話をしながら薬局を案内し、その前でその青年と別れた。
次の日、私はまだ連日のクラブ通いで体に疲れが残っていたので昼過ぎまで寝ていた。起きたら空腹だったので食べ物を調達するために外へ出ることにした。身支度をするのが面倒だったのでノーメイクでほぼパジャマの恰好だった。
暫くマーケットをうろうろしているとまた昨日の青年に会った。私は軽く挨拶してその場を去ろうとすると
「一緒にご飯でも食べに行きませんか。」
マリアは身だしなみが整っていないことが少し気になったが、特にこの青年を狙っているわけでもないし、お腹が空いていたので一緒にご飯を食べに行くことにした。
青年は話がうまく、マリアはとても楽しい時間を過ごした。
それから2人は良く一緒に出掛けるようになった。ピクニックに行ったり、温泉に行ったりしてすっかり友達になっていた。
ピクニックに行ったときに獣魔に遭遇しても、いつもの私なら怖がってぶりっ子するのだが、私は得意の魔力と怪力で獣魔をやっつけて青年に自慢した。
「マリアって強いんだね。」
と青年に褒めてもらって誇らしかった。
マリアは青年と出かけるときはラフな格好ですっかり気を抜いていた。
気を遣わなくていい関係がこんなに楽だなんて。いっそのことこの青年と結婚してしまおうかとも思った。
マリアは一緒に遊んでいるうちに青年に惹かれていった。でもマリアは王子様と結婚するという目標を掲げて旅をしてきたので、その方針を変えることに躊躇していた。