オラオラ系の王子はかっこいいが性格の見極めが重要
私の名前はマリア。
私は下流貴族の家に生まれた。家は貧乏で、家族で領地の畑を耕し細々と自給自足の生活をしている。服が破れても買ってもらえないくらいだ。
お父さんは王宮勤めだが出世の見込みもなく、お母さんは貴族ぶって働こうとしない。兄が3人で弟が4人いるので私は跡取りでもないし、この家に残る必要もない。
私は今年、貴族学校を卒業した。そろそろ結婚適齢期だが、相手も見つからない。
私は貧乏生活に疲れたので、王子様と結婚してお金の心配のない生活を送るため旅に出ることにした。
私には幸いにも魔力があり、ポーションを作ることができる。最近、たまたま美容の有効成分であるピラテという成分を開発して、その特許を取得した。それがじわじわと美容業界で広がり始めたので、定期的にお金が入ってくる。旅の資金は十分に賄える。
私はある筋からサイコ王国の王子様が今フリーであるという情報を入手し、その国に入国した。
その王子様はナルシストで筋トレを毎日欠かさない。そして少しオラオラ系でワイルドな男子とのことだった。
私はその手の男子を落とすために恋愛バイブル本を読みあさり、万全の備えをした。そして何とかツテを使って王子様が出席する舞踏会に参加した。
「初めまして、パス王子。私はマリアと申します。パス王子のお噂はかねがね伺っております。なんて素敵な筋肉でしょう。ちょっと触ってみてもいいですか?」
「いいよー特に何もしてないんだけどね。」
この手の男子は褒めちぎって私はイエスマンに徹する。大人っぽい女性が好みのことが多いので少しセクシーなドレスを選んだ。
「そのドレス素敵だね、どこのブランド?」
パス王子のドストライクの女性を演出し、見事次のデートの約束を取り付けた。
そして順調に交際がスタートした。デートの誘いは3回に1回は断るようにしている。ワイルド系男子はハンティングが好きなので少し思い通りにならないくらいが丁度いい。
そして暫く順調にいっていたが、ラブラブ期が終わって少しマンネリ気味になってくるとパス王子は本性を出すようになってきた。
「お前、下流貴族出身だろ?だから下品なんだよ。しぐさとか。」
「申し訳ございません。直すように心がけます。」
「お前、よく見たらそんなに可愛くないよな。」
「申し訳ございません。なんとか化粧で可愛くなるように努力します。」
「何その態度。なんか文句でもあるの?」
「申し訳ございません。特に文句はありません。」
なんかだんだん腹が立ってきた。このまま結婚して幸せになれるとは思えない。一生罵倒されて生きていかないといけないと思うと気が重い。
オラオラ系でかっこいいと思っていたが、こうも毎回ひどい事を言われると好きという感情も薄れてきた。少し心も病んできている。
私はちょっと考えてお別れすることにした。この人に別れ話をしても取り合ってくれるかわからないので夜逃げのようにこの国を出た。