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45話

「明けましておめでとうございます樹様」


 朝、起きて部屋から出てリビングに行くといつも通りのメイド服でアリサさんに新年の挨拶を受けた。


「おはよう……あ、おめでとうございます」


 昨日、新年へのカウントダウンが終わったとき、妹さんも交えて新年の挨拶は終えていたがもう一度朝挨拶するのはよくあることだろう。


「もうすぐ朝食の準備が出来ますので少しお待ちください」

「うん、ありがとう」


 そう言ってこたつに向かう。

 やはりこの時期は冷える。

 

「おふぁよ~」


 こたつに辿り着くと、そこには既に妹さんが陣取って蜜柑を食していた。

 こたつの天板に完全に上半身の体重を預けていて完全にダラけきった様子だった。

 妹さんは毎日髪型が違うのだが今日はアリサさんと同じ綺麗なブロンドの髪をシニョンに纏めていた。

 何しても似合うって……顔が整ってる人って卑怯だと思う。


「おはよう。妹さんはアリサさんの手伝いしなくていいの?」


 訊きながら、妹さんから人一人分ほど間をあけてこたつに入った。

 俺は手伝おうと思ってアリサさんに申し出たこともあるが丁重に断られたことがあり、それ以来そんな申し出をすることはなくなった。


「え~……だって私この家のメイドじゃないしなぁ」


 やる気ないな、これ。

 というかいつも以上にダラけている。

 身体は起こさないし、点いているテレビも観てるのか観てないのか分からない。


「もしかして――」


 ガバッと急に身体を起こし悪戯な表情で俺を見てくる。


「また私のメイド服が見たかったのかな? でも残念だけどあれは簡単に見せられる物じゃないんだよね!」


 確かにどっちのメイド服も似合ってたし可愛かったけど……全くそんな事考えてない。

 それなのに凄い勝ち誇った顔されるのは何か腹が立つ。


「マジでそんな事考えてなかった」

「あんなにガッツリ人の下着見たくせに!?」

「はい!? 見てないし!」


 見えそうにはなったけど見ないように視線逸らしたしな!


「またまたぁ~! ……素直に言えばまた着てあげないこともないよ?」


 …………。


「……遠慮しとく」

「今すごい間があったよね?」

「ない。全くない」


 マジだから。

 本当に……見たいとか思ってないから。

 妹さんは「素直じゃないなぁ」なんて言いながらバシバシと俺の肩を叩いていた。


 こんな感じで最近は妹さんとは結構自然な雰囲気で絡めるようになっていた。

 最初こそ緊張したものの妹さんの性格のおかげか非常に話しやすい関係を築けている。


「お待たせいたしました」


 そんなこんなで妹さんとどうでもいい話をしているとアリサさんが豪華な重箱、それ以外にも色々と豪勢な食事を運んできた。



○ ○ ○


「うわ~……すっご」


 三段の重箱には正直売っている何万円もするような物と遜色ない……いや、それ以上の素晴らしいおせち料理。

 父さんと二人でいるときはそんなに高くないものを買うか、そもそもおせちを用意しないことすら多々あったこともあり、はっきり言って見た目だけで感動ものだった。


「う~ん、これぞ日本! って感じだよねぇ」


 妹さんがおせちを見て呟く。


「うん、おせちなんて何年ぶりだろう?」

「え、日本に住んでるのに?」

「日本人が皆食べてると思うなよ」


 家族で暮らしてても用意しない家だってあるし、一人暮らしならほとんどの人が食べないだろう。


「じゃあ今年はいっぱい食べなよ! 私も作るのは手伝ったんだから!」


 と胸を張る妹さん。

 妹さんの家事能力の高さは知ってるし、アリサさんと一緒に作ったなら変なものも仕込まれてないはずだから安心だな。


「それじゃ……いただきます」


 俺が最初に自分の分を取り分けて口に運ぶ。

 それから二人も各々食べ始める。

 妹さんもつまみ食いとか、さっきのみかんみたいに食べることはあるけど食事のときは絶対に俺が食べ始めるのを待っている。

 最初は気まずかったけどもう慣れた。


 そしてアリサさん作のおせちだが……やばい。

 今まで食べたものはおせちではなかったらしい、なんて思ってしまうほどの美味しさだった。

 しかも全て手作りしたらしく、食べてるだけの俺でもその大変さは想像できる。

 栗きんとんなんて滑らかの極みだし伊達巻きはフワッフワだ。


「ちなみに、その栗きんとんは私が作ったんだよ」


 マジか!?

 アリサさんが作ったと思ってたのに妹さん!?

 他の料理と食べ比べても違和感が全くないぞ。


「どうどう? 美味しい?」


 嬉しそうに訊いてくる。


「めっちゃ美味い。正直アリサさんが作ったと思ってた」


 俺は素直に思っていたことを口に出した。


「んふふ~」


 そんな俺の感想に妹さんは非常に嬉しそうにニヤニヤしていた。


「良かったですね。……何度も作り直していた甲斐があって」


 アリサさんがボソッと呟いた。

 そんなに真剣に作ってくれたのか……これは有り難く頂かなければいけないな。


「ちょ――お姉ちゃん!?」


 妹さんは何故だか凄く焦っていた。


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