その夜に
エレーナとユーグの会話で進行します。
「エレーナ、なんで探知魔法を使わなかったんだ?レンに心配かけるほどじゃなかったんじゃないか?」
「貴方なら知ってるでしょう?私が普段から着けているこの腕輪の事。魔力封じの魔道具なのよ?いくら私でも封じられたままでは精度の高い探知魔法なんて出来ないわ。それに、村の人たちに少しでも危機感を感じてもらわないといけなかったのよ。あの森は近いうちに必ず魔物が生まれるわ。避難させないと。」
「自分で作った魔道具なんだから外せば良いものを…」
「外したら私達の居場所がバレちゃうじゃない。それに緊急時以外は私達は普通の村人として過ごしましょうって此処に来る時に決めたでしょう?レンのためにも。今日心配かけちゃったけど、これから起こる事の前触れって事で心構えして貰わないと。」
「はぁ、お前なぁ。だからってやり過ぎだろ。それにゲルダ草まで生えてたんだろ?魔物が出てくんの秒読みじゃねぇか。騎士も冒険者も間に合わねぇぞ。そもそも避難自体間に合わねぇ。俺達だけで隠れて討伐って訳にもいかねぇし。どうすんだ?」
「どうしましょうね。本当に。レンの安全第一は変わらないけど…。今晩のうちにあの子に守護の結界付与した魔道具でも作りましょうか?」
「それはなんの解決にもなってねぇだろ。てか腕輪着けたまま魔道具作れるのか?」
「作れるわよ?付与する時間凄くかかるけどね。腕輪無ければ一瞬だけど。」
「とりあえず、じゃぁ魔道具は作っておくとして、明日の調査次第か。もし、魔物が明日明後日頃に出そうなら、避難も間に合わねぇ。俺達がやるしかねぇだろうな。もう少し時間ありそうなら、エレーナから冒険者の連中に連絡つけて呼び寄せられないか?」
「呼べないこともないでしょうけど、結局腕輪は外さないといけないわね。呼んでその人たちに対処してもらって私たちの事は内緒にして貰う?でも外した時点で分かる人には私達の居場所がバレるわよ?それなら、私達で片付けた方がいいんじゃないかしら?」
「どっちにしても腕輪は外すことになるのか…。それなら、俺が片付けるのが一番か…。腕輪有りでもバフくらいはかけれるか?」
「出来るわ。威力が落ちてるのと範囲が狭いのを除けば、腕輪なしと同じよ。威力は9割5分減で、範囲は私から半径5キロね。」
「それなら俺1人でもなんとかなりそうだがな。魔物の種類にもよるな。最悪俺が戦えるのがバレてもどうとでも言い訳できるし、俺が戦うことにするか。」
「そう、ね。」
「多分それが一番安全で確実だと思うわ。ただ、此処には居られなくなるかもしれないわ。」
「怖がられたら仕方ないさ。レンには寂しい思いさせるかもしれねぇが別の場所に移るしかないな。次は商人でもやるかっ!」
「ふふ、そうね。商人も良いかもしれないわね。3人一緒に居られるなら何処でも構わないわ。」
「よし、明日以降の方針も決まったし、飯にするか。いい加減腹減ったろ。作ってくっから、魔道具でも作っててくれ。必要なら荷造りもだな。まぁ、必要なもんはお互い指輪に入ってるが、レンのもんは入れてねぇだろ?」
「そうね、レンのもの片付けたら魔道具作ってるわ。部屋にいるから呼んでくれる?」
「おう、わかったよ。」
お互い今後の方針を基に行動に移る。明日以降何が起きてもすぐ動けるように。もし、村から離れることになっても大丈夫なように。
ただ、レンに寂しい思いはさせたくない2人。それでも安全のためには仕方がないと一種の諦めを抱く。
そのあとエレーナは魔道具を完成させ、寝ているレンの首にかけた。
2人は食事を取り眠りにつく。明日の為に。
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