同級生カルテット1
野球部として本格的に活動が始まって数日経ったある日の昼休み
一弓がクラスの友達数人と昼食をとろうと机をくっつけ弁当を取り出そうとしたその時、恭子と遥が廊下から見ている事に気付いた
目が合うと恭子が手招きしたので一弓は廊下に出た
「どうしたの」
「いやぁ、同じ野球部同士たまには一緒にお昼ご飯どうかなって」
「あぁ...ごめん、もうこっちの友達と食べる流れになってて」
「前原!恭子は本当は沢井について相談しに来たんだぞ」
「バカ!それはこの後それとなく話の流れで誘導しようとしてたのに!」
恭子は遥の胸ぐらをつかみ激しく揺すった
「なるほどね...ちょっと待ってて」
一弓は苦笑を浮かべると一度友達の元へ戻り断りを入れてから弁当を持って教室を出た
3人は食堂へ向かい、空いてる席を見つるとそこへ着席した。
「ごめんね、無理矢理呼んじゃって。
それでさ、前も言ったんだけど私達と沢井さんなんか微妙な感じじゃん。それで沢井さんと仲良い前原さんに相談しようと思って」
「別に仲良くは無いんだけどな...」
仲が良いと思われていたのか…と一弓は苦々しい表情を浮かべた
「えー、でも沢井さんと1番喋ってるの前原さんじゃん」
「それはそうだけど...」
「アイツに私達の実力を見せつけてやればいいんだ!」
自信満々という表情で提案する遥と対象的に恭子は呆れた顔をする
「あのさぁ...そういうのじゃないんだよ」
「そうかぁ、ダメかぁ」
「だいたい私と遥じゃ沢井さんの足元にも及ばないよ」
「何ぃ!?そんな事はないぞ!」
「そんな事あるんだよ!」
恭子と遥が軽い口論を広げているが、これも仲が良いからこそのじゃれ合いなのだろう
「いや、春日さんの言う事も一理あるかも」
一弓の一言でヒートアップしていた2人の言い合いは止まった
「どういう事?」
「あの子、実力のある人にしか興味ないって感じだから」
「ほらな、やはりアタシがアイツの目の前でホームランを連発して真の4番は誰かを認めさせないといけないんだ」
「いや、それ何年かかっても無理だから...でも、そっか...そういう事だよね...」
恭子は険しい表情で暫くの間俯いていたが何かを思い付いたような様子で顔をあげた
「そっか!そうだよ、そうすればいいんだ!」
「何か良い考えが浮かんだ?」
「うん、前原さん呼んで良かった〜」
「なんだよ恭子教えろよ」
「嫌だ、後でのお楽しみ」
「隠すなよ〜!」
「だってアンタなんでもペラペラ喋るし1人で勝手に突っ走りそうなんだもん」
再び恭子と遥のじゃれ合いが始まり、一弓はそれを微笑ましく眺めていた。




