ようこそ野球部2
自己紹介が終わりいよいよ練習が始まる
ストレッチを済ませた後にランニングへ
1人で黙々と走っていた一弓の隣に後ろから走って来た先輩が並走し声をかけてきた
「一緒に走っていい?」
「あ、はい」
「キミも外野手なんだってね、まいったなぁ」
「まいったとは?」
「私も外野なんだよ、まぁ控えなんだけどね」
「あぁ、なるほど」
「あ!別に嫌味って訳じゃないからね!」
慌てて取り繕う彼女に一弓は愛想笑いで相槌をうつ
「こっちの自己紹介まだだったね。私は3年の浦上。困ったことがあったらなんでも相談して。同じ外野手同士仲良くやっていこう」
こうして一弓は先輩の浦上と軽く会話をしながらランニングを終えた
グラウンドに戻るとタオルで汗をぬぐい水分補給をする灯と、そのそばで息があがり仰向けで倒れている遙の姿があった
「遙のやつ、沢井さんに対抗してオーバーワークになったみたいね。まだこの後も練習あるのに」
恭子もランニングを終えグラウンドに戻ってきた
「次は守備練習だっけ、嫌だなぁ」
「え?前原さん守備苦手なの?」
「苦手というか嫌いなの、守備が好きな人なんている?」
「全然いると思うけど...」
水分補給補給を終え一弓は重い足取りで外野の位置へ向かう
センターから浦上が笑顔で一弓に手を振っている
「前原ちゃん元気なさそうだね?疲れちゃった?」
「いえ、守備練習はあまり好きじゃなくて...」
「えー、そうなんだ。私は守備が唯一輝ける瞬間だから好きなんだけどな」
「そうなんですか?」
「私、バッティングは全然ダメだから守備でアピールするしかないんだ」
「私と逆ですね」
「そうかもね、前原ちゃん部活体験の時すごいバッティングしてたもんね。羨ましいなぁ」
「私は守備練習で楽しそうにしてる先輩の方が羨ましいですけどね」
守備練習が始まるとさっきまでとは別人のように真剣な表情で浦上が好守を連発していた
走力を活かした広い守備範囲と正確な目測と捕球
なぜこのレベルで控えなのかが不思議なほどだった
一方の一弓はというと1歩目が遅いと監督から激を飛ばされたりゴロを後逸したりやはり守備では散々だった
「いやぁ、前原さんの弱点発見だねぇ」
恭子が茶化すように笑みを浮かべる
「いいんだよ、最低限出来てれば」
「最低限ねぇ...」
おおよそ最低限と言えるかは怪しいレベルだったが恭子には一弓の言葉が本気なのか冗談なのかわからなかった




