表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/49

出会ってしまった4

「なぁ、ここって本当に林ノ宮高校の女子野球部だよな?」


「うん。間違いなく林ノ宮高校女子野球部だよ」


「じゃあなんなんだよ!アイツらは!とくに最初に打ってたアイツ!」


春日遙かすがはるかは中学からの友人の小山内恭子おさないきょうこに声を荒らげる


「あんなのがなんでこんな弱小高校に来てるんだよ!絶対おかしいだろ!」


「知らないよ」


「くっそー!私だって中学の頃は4番だったんだ、その実力見せつけてやる!見てろよ恭子!」


「私に見せつけてどうすんのよ...」


遙が打席に入り恭子はレフトの守備につく

投手は別の3年に交代していた

初球、やや外ぎみの緩い直球を遥は踏み込んでフルスイングする

が、彼女はまだ硬球をほとんど打ったことがなく詰まった打球はライト方向への浅いフライになった

その後もヒット性の当たりはほとんど出ることはなく遙の打席は終了した


「ま、思い切りの良さは見せれたんじゃないの?」


「くぅぅ!!手が痛ぇ!」


「私は投手志望だし打撃は適当に終わらせてくるわ」


遙からバットを受け取り恭子が打席に入る

遙同様ほとんど詰まった当たりで終了した


「それにしてもあのホームラン打ってた子、どこかで見たことある気がするのよね」


「やっぱり有名な奴なのか!」


「うーん、多分」


「まぁそんな事は関係ない!この部でいずれ4番を打つのはアタシなんだから!」


「今の段階だと全く期待できないわね...」



次のメニュー、ノックも終了しこの日の部活体験は終了した

一弓は電車通学なので校舎には戻らずそのまま駅へ向かおうとしたところ灯が声をかけてきた


「同じ電車のはずだわ、一緒に帰っていいかしら?」


「うん」


「ねぇ、正直今日参加してみてどうだった?」


「打撃練習は元々大好きだったから楽しかったよ、でも守備は嫌いだからノックはちょっと」


「だからあなたポジションがライトなのね。これからはしっかり守ってもらわないと困るわ」


「いや、怠慢守備はしたことはいよ...ちょっと守備が苦手なだけで」


「足も速いのに勿体無いわ」


「足が速いのと守備が上手いのは別だからね」


「まぁあなたがヒットで出塁して私がホームラン打てば2点入るわ」


「2点じゃない!アタシも打つから3点だ!」


突然後ろから遙が声をかけてきた

隣には恭子もいる


「あら、あなたさっきの」


「いいか!4番を打つのはこのアタシだ」


「さっきの打撃を見た感じだとスタメン入りすら危ういと思うのだけど」


「ごめんね、この子だいぶ頭が悪いんだ」


恭子は遥の肩に手を置き、困ったような笑顔を浮かべて言った



「恭子!お前は私の味方じゃないのか!」


「いきなり初対面の同級生に喧嘩売るような女の味方なんてしません」


「私は本気で全国目指してるの、足は引っ張らないようにして欲しいわね」


灯が恭子と遥を突き放すようにピシャリとそう言い放った


「なんだと!?」


遥が拳を握りしめながら言い返す、恭子はそれをなだめるように両手を広げて遥と灯の間に割って入った


「ねぇ、それなら何で強い私立へ行かなかったの?」


恭子は煽るつもりはなく、純粋に気になったので灯にそう尋ねる


「別に、どうだっていいじゃない」


灯がそっけない態度で返答し、一触即発のムードが漂う

暫く沈黙が続き、耐えられなくなった一弓が口を開く


「ふ、2人ももしかして電車通学?」


「そう、私達田辺から来てるの」


「あ、そうなんだじゃあ同じ電車だね...」


結局4人は電車でもほとんど会話をすることなく先に最寄り駅についた灯が下車した

気まずい空気のまま残った3人は居心地の悪さを感じながら、やはり会話をすることなく時間が流れていく

一弓は、野球部への入部を考え直したくなりつつ地下鉄の窓を眺める

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ