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仲良さそうだなって3

とりあえず2年の教室を総当たりすることにした4人は、まず2年1組の教室のドアを開けて中を覗いた

教室を見渡す限り、野球部の部員は1人もいないようで

「チッ、ハズレか」と遥が舌打ち混じりに呟き次の教室へ向かおうとしたところ、ドア付近の席に座っていた生徒が4人に声をかけてきた


「1年生?どしたの、誰か探してる?」


「はい、アタシ達野球部なんですけど、キャプテン…植竹先輩を探してて」


遥が片足を教室に踏み入れ、身を乗り出すような体制で答えた


「あー野球部ね、植竹さんは、ごめん私は知らないや。ミーちゃんは知ってる?」


彼女は机をくっつけて一緒に食事をしていた友達に尋ねる


「植竹さんんは確か3組だったと思うけど」


「3組ですか、助かりましたありがとうございます!」


遥は頭を下げ、急いで3組の教室へと向かった

他の3人も続けて頭を下げ遥を追った


「そういえばこの前テレビの取材来てたのって女子野球部だったよね」


「あー、確かそうだね。なんか1年生の子?が凄いらしいよ」


「へえ~、さっきの子達かな、サイン貰っておけばよかった」


「ミーちゃんミーハーすぎでしょ」


1年生を目で見送った後、2人は談笑を続けた



3組の教室の開いていたドアから教室の中を覗き、植竹を発見した遥は手を振りながら叫んだ


「キャプテーン!」


植竹は驚いて声の方へ視線を向け、植竹と机をくっつけて座り会話をしていた中津と前田も同じく遥の方へ振り向く


教室にいる生徒達の視線が一気に遥へ向けられ、僅かにざわつき始めるがそんな事お構いなしとばかりに遥は手を降り続ける


「おい、何なんだ急に、何の用だ!?」


植竹は恥ずかしさ半分怒り半分で遥に向かって叫んだ

遥の後ろでは恭子が頭を抱えて俯き、一弓はニヤニヤと笑みを浮かべ、灯は無表情で立っていた


「部活の事で質問があって、部員募集の事です」


「それは今じゃないとダメな事なのか!?部活の時でもいいだろ!」


「いや、今聞きたいんです!」


突然の来訪者を追い返そうとするが全く退いてくれる様子もなく、植竹は深いため息をついた


「おーそうかそうか熱心な後輩達よ、この植竹キャプテン様が何でも聞いてやろう。入りたまえ」


困惑する植竹をよそに、中津は手招きをして勝手に後輩達を教室へ入れようとした


「おい、他の学年の生徒を立ち入らせるのはマズいだろ!」


「部活の相談ならいいんじゃない?遊びで来てるわけじゃないんだし」


植竹は中津を止めようするが、構わず中津は「カモンカモン」と手招きを続けた

前田も「まあいいんじゃない?」と少し楽しそうに中津に便乗した


「お邪魔しまーす」と遥が教室に足を踏み入れ、一弓と灯も続けて教室へ入った

恭子は本当に大丈夫なのか?とオロオロしながらも恐る恐る3人に続いた


「で?何の話だ?」


植竹は全てを諦めて、投げやりに遥へ問いかけた


「はい、新入部員を募集するっていう話はどうなってるのかなって、募集の貼り紙も前から貼ってあるやつのままだし」


「あー、そのことか。一応1人入ってくれそうな子はいるんだが、他の部活と掛け持ちで秋から冬までの期間限定での参加になるっぽいのと、まだ確定した訳じゃないから皆には伝えていなかった。そこはすまない、貼り紙に関しては、まああってもなくても変わらないかなと思って…」


植竹は申し訳なさそうに頭をかく


「そうだったんですね、新しい部員が入ってきそうな気配が無かったからもしかしたらこのままギリギリの人数でいくのかなと心配で、恭子もピッチャーやりたいだろうし」


「え!?私のせい!?いやいや、大丈夫です、全然大丈夫ですから」


恭子は慌てて遥の口を手で塞いだ

遥は恭子の手を力ずくではがして、言葉を続けた


「貼り紙も、急募!初心者歓迎!とか書いた方がいいですよ」


「それはもういいから!」


恭子は再び遥の口を塞ごうとし、それをさせまいと抵抗する遥と取っ組み合いになった


「前原と沢井も何か言いたいことは無いか?」


恭子の腕を抑えながら遥は2人へ話を振った


「え?私は特にないかな~、沢井さんは?」


「そうね…私は、全国へ行きたいです。勿論、この秋だって諦めていません。最低限試合は出来る状態を望みます」


部員の人数がギリギリなのは誰のせいでもないが、植竹は説教をされているような気分になり「お、おう…」と漏らしたが、相手は年下だという事もあり、キャプテンとしての威厳を保たなければと背筋に力を入れた


「引き続き入ってくれそうな子は探すが、お前達の方でも探してくれよ?1年生の方が部活に入ってくれる可能性は高そうなんだから」


植竹は腕を組み、後輩4人に鋭い視線を向けた


「ですよね、何かすみません急に押しかけちゃって、それじゃあ私達はこの辺で~」


険悪になりそうな空気を察知した恭子が慌てて遥と灯の腕を引っ張り、教室から引き上げようとした

一弓はキャプテン達に一礼をして恭子に続き遥と灯の背中を押しながら教室を後にした


「はあ~、全く、何だったんだ…」


一気に疲れが出た植竹は背中を丸めてため息をついた


「まあまあ、あの子達も不安だったんでしょ」


前田は植竹の背中をさすりながら言った


「それにしても、ああいう集まりに沢井も参加してくるとは意外だったね」


中津は後輩が去っていった廊下の方を見つめながらそう漏らした


「そうだね、でも私は何か安心したなあ」


「安心?」


前田の発言に、植竹は丸めていた背筋をのばし頭をあげて聞き返した


「うん、仲良さそうだなって。なんかいいよねそういうの」


前田はそう答えて微笑んだ


「ま、私達程じゃないけどね」


中津は前田の肩を抱きながら言った


「そうだな、私達はホント色々あった結果、今の関係だもんな。乗り越えた修羅場が違うよ」


植竹が苦笑いを浮かべながらそう言うと、中津は「え?何かあったのアンタ達!?」ととぼけた


植竹は「お前だよ、お前」と中津を指差した


「うん、いいねやっぱり。こういうの」


前田が満面お笑みを浮かべそう言うと、植竹は照れくさそうに


「ま、まあ悪くはないな」


と呟き、中津もそれを真似て


「まあ悪くはないな」


と深く頷いた

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