仲良さそうだなって2
「あ、そういえばさ、部員募集の件って今どんな感じなんだろうね」
恭子が突然思い出したかのように部活の話題を振る
「あ~、どうなんだろうね?新チームでの練習始まってから1週間くらいだけど新しい人が入ってくるなんて話は出てないよね」
一弓は確認するかのように隣の灯へと顔を向け、灯は「そうね」と頷いた
「てか廊下に貼られてる部員募集の紙も私達が入学してきた頃から貼られてるやつのままだよね?」
恭子の言葉に全員「確かに」と頷いた
職員室付近と運動場へ出る廊下に貼られている野球部の部員募集の貼り紙は、特にイラストが描かれていたりだとかは無く、真っ白な紙の真ん中に手書きの文字で『女子野球部 部員募集』と書かれているだけの質素なものだった。
流石にあれを見て元々女子野球部に入るつもりの生徒以外が入って来る事は無いだろうと誰しもが感じる程、勧誘に役立っていない貼り紙だ。
「急募!初心者歓迎!とか書けばいいのにな」
「いや、バイトの募集か!」
遥と恭子の息の合った漫才のような掛け合いに思わず一弓は「おぉ~」と声を漏らし拍手を送った
恭子は照れくさそうにに後頭部をさすりながら軽く頭をさげる。遥は自分がボケたつもりは一切無いので何故一弓に拍手されたか分からず首をかしげる
「流石に何もしてないって事は無いだろうけど、どうなってるのかは気になるよね。このままだと小山内さんホントに外野のままだし」
「そうだな、じゃあ今からキャプテンに聞きに行ってみるか。昼休みはまだ20分くらい残ってるし」
何気なくこぼした自分の言葉に乗っかって遥が思わぬ提案をしてきたので一弓は焦って止めようとしたが、そのタイミングで灯が口を開いた
「そうね、私も少し気になるわ。せめて貼り紙くらいは作り直してもらわないと」
遥の提案に乗り気な灯に対して驚いた一弓は、助けを求めるように恭子の方を見る
一弓と目が合った恭子は困ったように微笑んだ
「そんな事言ってもキャプテンが何組なのか知らないでしょ?」
「知らん、2年の教室を総当たりするか職員室で先生に聞けばいい」
「教室にいるとは限らないでしょ?」
「少なくとも食堂には居ない、という事は教室で昼ご飯を食べてる可能性が高い。キャプテンは真面目そうだからわざわざ教室か食堂以外の変な場所でご飯は食べないだろ」
「うっ、確かに…」
遥に完全に言い負かされてしまった恭子は(こういう時だけ無駄に頭働くなあ)と関心しつつ、両手をあげて「お手上げです」と身振りで一弓にアピールした
一弓はガックリと肩を落とし、めんどくさい事にならなければいいけど、と心底不安に思った




