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上手くなる為には2

「悪い、アタシこれからバッセン寄って帰るわ」


練習の帰り、最寄り駅の改札を出てすぐ遥は別れの合図のように片手を軽くあげながらそう言った


「え?それなら私も一緒に行くけど?」


「あぁ、そうか…わかった」


少しばつの悪そうな遥の様子に、もしかして今日は一人で行きたい事情でもあったのかなと恭子は感じつつも、一緒に行くと言ってしまった手前、「やっぱりやめとく」と言うのも何だか気まずいので遥には悪いかもしれないがとりあえずついて行く事にした。



バッティングセンターに到着し、遥はすぐにメダルを購入してバッターボックスへ入った

機械にメダルを投入し、向かいのビジョンに映る映像のプロ野球選手が投球の構えに入る

そしてマシーンから投じられたボールを、遥は大きなスイングで打ち返す

次から次へと投じられるボールを黙々と打ち返す遥の脳裏には、この間の県大会の事が浮かんでいた

同じ1年生ながら、レギュラーで試合に出場し結果を残した2人、その姿をただベンチから応援するしか出来なかった自分

今、野球部は部員の数がギリギリなので秋には自分もレギュラーに選ばれるだろう、ただ、それで前原一弓、沢井灯との差が埋まったとは言えない

秋の大会でレギュラーとして出場したとして、はたしてあの2人のように活躍できるのだろうか?

そんな事を考えながら遥はただひたすらにバットを振り続ける


もっと上手くなりたい、上手くなる為にはどうすればいいのだろう、きっとこんな風にひたすらバットを降り続けていても何も変わらない

練習の量も大切だけど、きっと、今の自分に必要なのは知識なのだろう

どうすれば上手くなるのか、それを理解した上で練習しないと意味が無い


『確かにアナタは長打力はあるとは思うけれど、上半身の力に頼ったバッティングに見える。』

『もっと下半身も鍛えて体の軸を安定させるのと、重心移動や上半身の回転の意識ね。』


大会後に皆で食事に行った時に灯から言われた言葉が浮かんでくる


そうだ、上手くなる為には─。


遥はラスト1球を渾身のスイングではじき返した




ボックスの外から遥のバッティングを見つめる恭子の目には、遥が何か鬱憤を晴らすようにヤケクソに大振りしているように見えていた

そして1コイン分の球数を消化しボックスから出ようとする遥に「私ピッチングの方行くからそのまま続けていいよ」と伝え、離れた位置にあるピッチングのボックスへ向かった


(やっぱり今日は一人にしてあげるべきだったのかな...)


恭子はマシーンにコインを投入し、向かいの的めがけて1球目を投じた

ボールはアウトローギリギリ、的の7番の位置の外のフレームに当たり大きく跳ね返った。

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