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人気者じゃん3

翌日の朝練から、3年が不在の新体制での部活動が始まった。

この日からキャプテンを務める植竹の掛け声にあわせ部員達がストレッチをする中、一弓は他の部員を見渡し、かなり人数が少なくなったなと感じた


元々部員は多い方では無かったが、3年生が抜けた現在は、2年生5人と1年生4人の計9人しかいないのだから少なく感じるのも当然だった。


ストレッチが終わると、恭子は植竹から声をかけられた


「小山内、すまないけど今ウチは見ての通り人数がギリギリで、外野手が足りないんだ。ピッチャーは小山内と希の2人いるからどちらか外野をやってもらわないとポジションが埋まらないんだが、少しの間だけ外野手やってくれないか?」


3年生が引退して、残りの部員の状況を考えると、自分が他のポジションに移らないといけないかもしれないということを、恭子は事前に予想していたので、相談された事に驚く事もなく


「勿論、全然大丈夫ですよ」


と、答えた


「すまない、一応助っ人で来れる子とか今からでも新入部員として入ってくれる子がいないか募集をかけるから。ピッチャーの練習メニューにもちゃんと参加させるようにもする」


「いや~、なんかすごく気を使ってもらっちゃてるみたいで、むしろすみません。」


「いやいや、こっちこそ申し訳ない」


「丁度同期に凄い外野手の子がいるんで色々教えて貰います」


恭子はチラっと一弓の方へ視線を向けた


「ピッチングの方は希…中津先輩に色々教えて貰うといいよ、アイツは凄いピッチャーだから。多分向こうからアドバイスしてくれるなんてことは無さそうだから小山内の方から質問攻めしてやるといいよ。怖い奴じゃないから答えてくれると思う。じゃなきゃ私が叱ってやる」


「アハハ…ありがとうございます。」


(中津先輩かぁ…そういえば殆ど話したこと無かったな)


恭子は同じ投手の中では3年生の尾上と又吉とは会話を交わす事はあったが、2年生の中津とは挨拶以外で言葉を交わす事は無かった

尾上や又吉は向こうから恭子に声をかけてくれる事も多かったのに対して中津が声をかけてくれる事は無く、かといって恭子は中津に対して寡黙な人というイメージを持っている訳ではない。

なぜなら中津と同い年の植竹やマネージャーの前田と談笑している姿をよく見かけたからだ。


恭子から中津に話しかける事が無かったのは、中津はクールな雰囲気の人というイメージがあり、彼女の独特な雰囲気に、何となく話しかけては迷惑なのではと思ってしまっていたからだった。


(しばらく外野手をやるとはいえ、私の他にピッチャーは中津先輩しかいないし、植竹先輩もああ言ってたし、話しかけてみようかな)


「あの!」


中津は次のメニューのためにグラブを取りに行く僅かな時間、中津に声をかけた


「何?」


「あの、好きな食べ物て何ですか?」


「え?うーん…美味しい物かな」


淡々とそう答えて去っていく中津の背中を見ながら、思ったより仲良くできるかもしれないと恭子は思った。


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