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刹那、駆け抜ける2

翌日、4人は恭子と遥の地元にあるファミリーレストランに集まり夕食を共にしていた。

席順は恭子と遥が並んで座り、対面に一弓と灯が並んで座っている。


順番にメニューを回し、全員の注文が決まった事を確認すると恭子が店員を呼び出すボタンを押す。

すぐに店員が席までやって来た。


「和風おろしハンバーグ、ライスセットで。あ、ライス大盛りでお願いします。」


最初に注文を終えた恭子が次どうぞ、と隣の遥へと目配せをする。


「チーズハンバーグのライス大盛りセットで、あとコーンスープ」


「サイコロステーキとライスの大盛りのセットで、それとシーフードサラダも。」


遥と一弓も続いて注文を終え残るは灯のみ、一体何を注文するのだろうという視線が他の3人から灯に集まる。


「厚切りステーキ、ライス大盛りセットとサイコロステーキ、ライス大盛りセットとペペロンチーノ。以上で。」


注文を言い終えた灯は視線が自分に集まっていることに気が付いた。


「何?」


表情が引きつる3人とは対照的に灯はいつも通り澄ましたような顔で3人を見回す


「いや、すごい量だなあと思って...」


「より遠くに飛ばすためには体重を増やす必要があるもの。でも太りすぎにならないようには気を付けているわ」


「へ、へえ~、流石沢井さんって感じだね」


するとその会話を聞いていた遥が突然「ハイっ」と手を挙げて再びメニューを手に取った。


「すみません、和風パスタも追加でお願いします」


「かしこまりました。」


「ちょっと!そんなに食べられるの!?」


恭子が声を上げた事で店員は困ったような顔をして遥を見る。


「あ、和風パスタ追加で大丈夫ですよ」


「かしこまりました。他にご注文はありますでしょうか?」


4人は其々顔を見合わせ、一弓が「以上で大丈夫です」と店員に伝えた。


「春日さん、分かっていると思うけれど食べ物を残すのはよくないわよ?」


「残すわけないだろ!!!」


呆れたような口ぶりの灯に対して遥は少し前のめりになりながら反論する。

恭子は思わずため息をつき、一弓は困ったように笑った。


「それにしても沢井さんが来てくれるなんて思わなかったよ」


「3年間共に野球をするチームメイトですもの、少しは交友を深める必要もあると思っただけよ。しかも4人しかいないのだから」


「そっかあ、じゃあこれからも誘ってもいいって事?」


「たまにならね、でも私は前原さんが来たことの方が驚きだったわ。」


灯のその言葉に恭子は驚いて思わず一弓の方へと視線を向ける。


「え?私?」


一弓はとぼけたような反応を見せた。


「だって前原さん凄く落ち込んでいたから、きっと一人でふさぎ込んでいるものだと思っていたわ。」


遠慮なく触れにくい話題を切り込んでいく灯に、一弓ではなく恭子が一番動揺して開いた口が塞がらなかった。


「沢井さんってさあ、友達いないでしょ」


一弓は少しニヤつきながら灯に反撃した。


「今までチームメイトとはそれなりに上手く協力しながら野球に取り組んでいたわ。必要以上に仲良くはならなかったけれども」


「ある意味表も裏もないのが沢井さんのいい所なのかもね」


「小山内さんが気になってそうだったから聞いてあげただけよ。」


突然灯に巻き込まれ、恭子は慌ててテーブルを叩いた


「ちょっと!!!違うから!!!前原さん、違うからね!!」


「えー?」


必死に否定する恭子をからかうように一弓は疑う素振りを見せながら笑った。


「違うくはないだろ、恭子は前原の事心配してたぞ」


「遥!!!!!!」


恭子は顔を真っ赤にして先程より力強くテーブルを叩いた。


「あははは、小山内さんありがとう。私は大丈夫だから」


「そ、そう...いや、心配はしていたけど今日は別に前原さんの為に集まろうと思った訳じゃなくて、その、えーっと」


「うん、分かってるよ」


「くそ~、やっぱり沢井さんは誘うべきじゃなかったかも...」


「さっき、これからも誘っていいか聞かれた気がしたのだけれど」


「前言撤回します!」


遥と一弓が揃って楽しそうな笑い声をあげる。

楽しそうな一弓の様子をみて恭子も安心し、頬を緩めた。

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