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レギュラー1

夏の予選の抽選と背番号発表を前に練習試合が組まれた

この日の試合は上級生にとって大きな意味を持つ試合になる

前回の1年生中心の起用ではなく、大会を想定したオーダーで試合に挑むと監督から選手たちに告げられ


そして











練習試合とはいえ小学校低学年の頃以来となるベンチスタートになった一弓は、なんとも言えない手持ち無沙汰感を抱えベンチに座り、グラウンドで軽く素振りをしたりキャッチボールをする部員達を眺めていた。


この日、1年生の中で唯一スタメン出場する灯も念入りにストレッチをしていた。

4番での起用というのは彼女への期待の高さが伺える


そして一弓は、ぼんやりと浦上を眺める

2番センターでの出場が告げられている浦上は真剣な表情でバットを構えフォームを確認していたが一弓の視線に気が付き、軽く微笑みを返した。


浦上の他に外野で出場する桜井と倉橋は昨年からレギュラーの選手だ

今の地点で外野のレギュラー枠は残り1人と言っても良いだろう

そして、もし今日浦上が結果を残せば外野3人の枠が埋まるかもしれない。



それでも、一弓は浦上の活躍を期待していた

それは決して情けでは無く、純粋に彼女がレギュラーにふさわしい能力を持つ選手だと思っているからだ


守備や走塁は勿論、打撃の力も確実に伸びてきている

そして、浦上の最後の夏に懸ける思い、努力を一弓は近くで見てきた

熱く、真剣に野球に取り組む姿は一弓には無いものだった。





試合開始の時間、先攻は林ノ宮高校

1番の佐川が打席に入る



今日の対戦相手は昨年夏の県大会で準々決勝まで勝ち残った広命館

全国出場こそ無いものの実力のあるチームだ


先発投手の3年生もレベルが高く、初球から力のある直球を外角低めストライクゾーンギリギリに投げ込み、佐川は手が出せなかった


2球目もストレート、やや力負けしたものの、おかげで打球はフラフラと外野の前に落ちポテンヒットとなった


そして、続く2番の浦上が打席に入る


ベンチを確認する、サインは出ていない


それでも自分の役目は理解している


ヒッティングと見せかけて、投手のリリースに合わせてバントの構えに入る

一塁手と三塁手が猛チャージをかけてくる


内角へのストレート、球威が強すぎたためうまく球の勢いを殺すことが出来なかったが三塁線ギリギリに転がし、全力で一塁へ駆け出す


ただ送りバントで終わるつもりはない、自分も出塁してチャンスを広げる


三塁手が打球を拾い一塁へスローする

やはり、打球の勢いが強すぎたか

セーフになるかギリギリのタイミング、浦上は一塁へ頭から滑り込む



「アウト!」



間に合わなかった、浦上は軽く地面を叩いた

それでもチャンスの場面を作った事にはかわりない



「あぁぁあ!惜しい!」


一弓の隣で遥が声を上げた

同時に一弓も「あぁ...」と声が漏れた


浦上は泥だらけでベンチに戻ってくると数人と軽いタッチを交わしていた


続く3番の高橋はサードゴロに倒れ、4番の灯も直球に差し込まれて外野フライ

結局得点は入らず初回の攻撃が終わった

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