エピローグ!
太陽の日が真上から差し込む暑い8月のある日。蝉の鳴き声が響き渡る薄暗い館の一室。
額を汗が伝う中、僕は女の子と向かい合って座っています。
なぜこうなってるかと言いますと。
両親が外交官として海外を回っている間、私を預かって貰えるという家が出てきたところまで戻ります。
その日両親は珍しく口笛を吹きながら帰ってきました。私を預かって貰える家が出てきたとのこと。
親曰く、預かって貰える家は国王の直近として仕えているのでとても格式のある家で、底辺貴族の僕達に手足も出せないそうです。1番古い伝記の国創記にも名前が出てくるくらい凄いくて、格式の高い家らしいです。
僕でも知っていました。この国で知らない人は居ないと思いますね。最近有名ですし。
なぜ僕を? と思いましたが、せっかくの機会ですし、とても良い経験になるので雑用係としてでも色々と学ばせて貰おうと思い、別荘のある田舎に来ました。
周りには森と畑くらいしかないなく、自然がとても濃い所でなんとも言えない気持ちになっていると、館に着きました。入口に経つと重く暗い扉が開き、今の部屋にとうされました。そして、女の子と向かい合ってます。
目の前に座ってる子は、まだ幼さが残りますが、その容姿には将来を期待できるだけの素質があり、長く伸ばされた白い髪は糸のようです。さすが、上級階級の方と言ったところです。
すると、女の子は緊張した様子で口を開きました。
「あ、あなたが学院を首席で卒業し、国王の御前で剣舞を披露した経験もある、神童とも呼ばれたリオンですか?」
「はい、私ですが。神童とはお恥ずかしい。」
呼ばれているのは知っていましたが直に言われると素直に喜べないですね。童っていう歳でもないですし。ちなみに今年で19です。
「そうですか。私の名前はアメリア・スチュアート、スチュアート家の次女です。」
その子は少し間をとってから
「なぜ、私があなたを預かったのか分かりますか?」
「分かりませんね。確かに不思議でした。」
そうですか、とアメリア様は少し目を伏せて、
「あなたならもう気づいているものと思っていました。」
そう言って、少し悩んだあと
「それでは、単刀直入に申し上げるとしましょう。最近、お父様と跡取りのお兄様が亡くなられました。そのせいで、今お家騒動が起こっています。」
「はい、」
「なので、あなたを預かろうと思いました。」
アメリア様の 言い切ったと言わんばかりの表情に、私は言葉を失いました。彼女顔からは期待の眼差しが向けられていますが、これだけで理解しろとおっしゃているんです?
今の説明から分かったことは少ないですが、スチュアート家は今家督争いの真っ最中だと言うこと、確かアメリア様も家督を狙っているということを耳にしたことがあります。となると。
「もしかして、僕に家督争いの手伝いをしろということですか? 」
「そうです! 」
「すみませんが、それは出来ません。」
違ってくれと願って聞いたものは虚しくもyesでした。流石に僕が頭を突っ込む訳には行きませんし、スチュアート家の問題になんて、僕の場合文字通り消されてしまいます。せっかくここまで努力して生きてきたのでまだ生きてたいですし。
「この私の要望を拒否すると言うことですか。」
あっ、そういえばこの子もスチュアート家でしたね。
「いえ、僕が手伝った所で所詮底辺と相手にすらされないと思いますし、アメリア様の足枷にすらなってしまいますから……。」
「自分は力不足だと言いたいのですか? 」
僕は静かに頭を下げました。これだけはどうしようもないことです。誠心誠意、説明すればきっと理解してくれるはずです。多分ですが。
「あなたは、スチュアート家と同等の力があれば手伝ってくれるということですか?」
「え、まぁ、はい。」
意図しない質問だったので、曖昧な返しになってしまいました。確かに力があるのであれば、手伝うことくらいはできます。
僕の返事を聞きアメリア様は椅子から立ち上がりました。
「言質を取りました! 力が足りないのならば力をあげます!」
「でも、そんな急には」
「いいえ簡単です! 私と結婚しましょう! 」
「え?」
「だって、結婚してしまえばスチュアート家の親戚になるので力の差はなくなりますよ。」
「はい、ですが……。」
「あぁ、確かに今いる私たちだけでは結婚することが出来ませんね。」
何を言ってるかが全く頭に入って来ません。言葉が身から耳へと通りすぎていきます。呆気にとられていると、悩んでいたアメリア様がてを叩きました。
「結婚までは行かなくとも、婚約者になることは可能です!2人で認め合うだけですから!」
「アメリア様、お1人で決めていいことではないかと思うのですが。」
婚約の話なんてその場でトントンと決めて良いものではありません。段階を踏んで決めていくことですし、僕にとっては大進歩となりますが、アメリア様のご家族はどう思われるか分かりません。
「大丈夫ですよ、計画の範囲だったので。リオン様、いえ旦那様ですね。」
「い、いえ! 無理です! いろんな意味で……。」
「断ってもいいですけど、私もスチュアート家の人間ということは、忘れないことをおすすめしますよ。」
実際、この歳になっても婚約者はいなかったので不都合は無いです。それに、もう断ることも出来ません。もし断ったらなんて、怖くて考えたくもないことです。
「もちろん報酬はありますよ。」
「え?」
「私が家督を継げたら私とスチュアート家の全てを差し上げましょう。」
「全て?」
「そう、全てをです。」
確かに全てを貰えるのはとても良いものです。しかし、失敗したら…?考えることが多すぎて頭から煙が出そうです。
もう、逃げれないなと悟っり始めた頃。アメリア様がこちらにやって来て、顔を近づけ言いました。
「これから、よろしくお願いしますね! 未来の旦那様! 」
と満面の笑みと共に。
こうして僕に花嫁が出来ちゃいました。
週に1回を目標に更新して行きたいです。
ちなみに、レオンは1人だと少し言葉使いが荒くなります。ヒロインもですけど笑笑