灯台の下の幼馴染み姉妹
レストランを出て波の音が聞こえる海沿いの道を二人で歩く。
「心地いい音だな……」
「らしくないセリフだね」
「うるせ」
夏樹の暮らす新海町は都会からかなり離れた田舎ではあったが海が綺麗で山もありそれなりの観光地であった。
「海未ちゃんの所も忙しそうだよね」
「そうだな~この時期はこの辺だとどこも忙しいからな」
二人で話しながら待ち合わせ場所の灯台へと向かった。
「遅いよー!」
灯台に向かうと二人の女の子がいた。
「ヒーローは遅れて登場するからな」
「光に虫が集まってくるの間違いでしょ?」
「さすがにひどすぎない⁉」
「相変わらず二人は仲良しさんだね~」
「いや、海未ちゃん今のは仲良しには見えないよ」
待っていたのは足立 海未と渚という姉妹の俺と立夏の幼馴染みだ。
「今日もついてきたんだね立夏、相変わらずブラコンだ」
「そっちだってお兄ちゃんに少しでも会いたいから来たくせに!」
今、立夏と言い合っているのが足立家妹の渚で茶髪のショートカットで小柄な目つきの悪い女の子である。
「人気者だね夏樹」
海未が二人とは違い余裕の表情で話しかけてくる。
「相変わらず余裕なお姉さんだな」
「そんなことないよ~私も頑張らなくっちゃ」
こっちの落ち着いた雰囲気の女の子が足立家姉の海未だこちらも茶髪だが髪は長く伸ばし身長は普通くらいで優しい目をしている。
夏樹は何を頑張るのか分からなかったが他の二人はどうやらわかっているようだった。
「で、今日はどうしたんだよ?」
「今日もお裾分けだよ」
海未がそういいながら持ってきたのはタッパーに入った豪華な料理だった。
「また、作りすぎたのか大輝さん」
「お父さん夏樹に食べてもらうのが好きなんだよ」
海未達の家はこの辺りでは有名な料亭を営んでいる。
「また今度立夏とお礼に行くよ」
「えぇ……私も?」
大輝さんは海未達の父親で料理の腕は本当に凄いがテンションがおかしいところがあるので立夏は少し苦手にしているようだ。
「ありがとー、お父さんも喜ぶよー」
「お父さん本当に夏樹のことお気に入りだからね」
「本当お兄ちゃんのどこが気に入ったんだろうね」
「妹なんだからそこは同意して……」
海未からタッパーを受け取る。
「いつもありがとな」
「いえいえ~」
「ほんと感謝してよね夏樹」
「なんでお前が偉そうなんだ……」
「渚も手伝ったんだよ~」
「ちょっと!お姉ちゃん!」
海未に料理を手伝ったことをばらされると渚は顔を真っ赤にした。
「立夏とおじさんおばさんには入れたけどあとはダンゴムシにあげたわ」
「なんでだよ!?三人に入れてくれたならもう一人分くらい入れてくれよ!」
「そんなに怒らないであげてよ、ダン……お兄ちゃん」
「今ダンゴムシって言おうとしたよね?」
「そろそろ夜も遅いし帰りましょう」
立夏が無視して帰ろうとする。
「そうだね~明日から月曜で学校だしね~」
「ばいばい、立夏!ついでにお供の方も」
どんどん年下からの扱いが酷くなってきている気がする夏樹であった。
そして翌日……