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ジャマイカサウンド史

ジャマイカサウンド史 ~ コンピュータ・ライズドの革命(スティーリィー&クリィーヴィ)

作者: Tanaka-KOZO

紙で作った王冠がトレード・マークだった「キング・タビー」。


彼が創始者とされるDUBスタイルは、その後ジャマイカの「サウンド・システム(野外ディスコ)」で活動していたDJたちに、「トゥスティング・スタイル」という新たな可能性を与えたという話は前回までのお話。


DUBでは、コクソンの元から離れた「リー・ペリー」の「スーパー・エイプ」や、UKレゲエの「アスワド」の「ニュー・チャプター」などの名盤も生み出した。


そしてレコードをバックに歌う「トゥスティング・スタイル」のDJは、プロと素人の差をギリギリまで縮め、多くのアーティストを輩出させることとなる。


70年代までのDUBは、当時世界最強のリズム隊といわしめた「スライ&ロビー」を中心として生演奏が主流であった。


※「スライ&ロビー」はスライ・ダンパー(ドラムス)とロビー・シェイクスピア(ベース)のユニット。

ミック・ジャガーやボブ・ディランのレコーディングなどにも抜擢されている。


80年代中期に入ると、ジャマイカのリズムはコンピュータ・ライズドという音楽スタイルに変わる。


今日のレゲエが世界的に広がりを見せたのは、このコンピュータ・ライズドという音楽スタイルのおかげだ。


コンピュータ・ライズドの発祥は86年頃とされる。


80年頃発売された日本のメーカー「カシオ計算機」が製作・発売する児童・初心者向けキーボード、「カシオ・トーン」は、スピーカー、リズム伴奏、多種の音色プリセット等を内蔵しており、値段もリーズナブル。


このカシオ・トーンのリズムボックスを使って作った「ウェイン・スミスワンダー」の、「アンダー・ミ・ステンレン」という曲がジャマイカで大ヒットする。


そして、これまで人間が演奏されていた曲との区別をするために、「コンピュータ・ライズド」という言葉が生まれるわけである。


※ちなみにこの曲はキング・タビーのエンジニアだった、「プリンス・ジャミー(後のキング・ジャミー)」の元でレコーディングされている。


そして、そのヒットに続けとばかり、ジャマイカでは、コンピュータを使った曲が一気に増え、今では生演奏の方が少なくなってしまった。


このコンピュータ・ライズドの流れをいち早く取り込み、レゲエの進化と発展に貢献したのは「スティーリィー&クリィーヴィ」の2人だ。


彼らはドラム・マシンとキーボード主体のトラック制作チームを立ち上げ、「スリラーU」を始めとした、多くのジャマイカのヒット曲を手がけることとなる。


「スティーリィー&クリィーヴィ」の功績は、タイトなリズムでも十分なグルーヴを表現することが可能であるということを、「サウンド・システム(野外ディスコ)」で証明したことである。


それによって、わざわざバンドを組まなくても、安価なキーボード一台でアーティストになれるという証明にもなったのだ。


そして85年にはジャマイカ本島で空前の「ダンス・ホール」ブームが起き、ジャマイカ・サウンドは、いよいよ世界へと羽ばたいていくこととなる。

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