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今日は朝から良い天気!
お見舞いに行く予定なので、一安心です。
今日は、入院中の母に会いに行きます。
出産予定日を過ぎ、いつ産まれるか楽しみにしていたところ、昨日ついに産まれたのだ!
私ももうお姉ちゃんかーーー
これから会う弟のことを考えると、ついニマニマ。
前世では一人っ子だったので、兄弟に憧れていたのだ!
「お嬢様、お食事の用意が整ったようですよ。」
ドアの外から声がかかり、私付きの穂花がノックをして入ってきた。
穂花の両親は、屋敷に住み込みで働いている。
そのため、遊び相手兼付き人で一緒に行動しているのだ。
歳は9歳で、はきはきした性格だ。
「おはよう、穂花!
教えてくれてありがとう!!」
呼びに来てくれた穂花とともに、父が待つ食卓へ向かう。
食卓といっても、無駄に長いテーブルで、前世とのあまりの違いに戸惑いは大きかった。
こんなに大きいのだから、使用人も一緒に食べればいいのにと思ったが、その考えはずれているらしい。
以前、穂花に言ったとき、何言ってるの?みたいな目で見られた…
「おはよう、今日はずいぶん可愛らしい格好をしているね。お母さんに見せるためかな?」
父が、挨拶とともに褒めてくれる。
今日は2週間ぶりに母と会うため、いつも以上にオシャレしたのだ!
昨日の夜、穂花と選んだ服で、淡いグリーンのフレアワンピースである。
「お母様にお会いするの楽しみだもの!弟にも!
お父様、早くご飯食べて行きましょう?」
席につき、父を急かす。
「そうだね。
私も楽しみだよ、早く行こうね。」
食事を終えて、父と車に乗り込む。
病院は、車で20分ほどのところにある。
大きくて綺麗な大病院で、母は特別室で入院している。
部屋の前につき、父がノックする。
「どうぞ。」
中から、凛とした綺麗な声が返事をする。
久しぶりに聞いた母の声。
父に続いて、私も中に入った。
母はベッドに腰掛け、微笑んでいる。
ベッドの横には小さなゆりかごがあり、弟は今寝ているようだ。
傍らには、母の入院中の付き添いの、穂花の母が立っている。
「お母様、体調は大丈夫ですか?」
久しぶりに会えた母に、嬉しくて近寄る。
弟も早く抱きたいな。
「お見舞いありがとう、あやの。もう大丈夫よ。
もう少ししたら退院できるから、それまで良い子にね。
あやのも、もうお姉さんね。」
そう言いながら、母が弟を見る。
抱っこしたいが、気持ち良さそうにすやすや寝ている。
「出産お疲れ様。
ゆっくり休んで、早く帰っておいで。」
父も弟を見つめ、母の方を向いて優しく伝える。
両親は、上流階級に珍しい恋愛結婚で、今でも仲良しなのだ。
「疲れているだろうし、2人の顔が見れたから、今日はもう帰るよ。
椎野さん、あとはよろしくね。」
前半は母に、後半は穂花の母に言うと、父はこちらを向いた。
「あやの、そろそろ帰ろうか。
今日はせっかくだから、このままお父様と出かけよう。」
父なりに、寂しさを埋めようとしてくれているようだ。
さて、どこに連れて行ってもらおうかな?