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パーティーを終え、送迎車で無事帰宅した。
前世ではありえない高級車に乗り、内心では緊張の連続だ。
記憶を取り戻す前はこれが普通だと思っていた自分に、普通を教えたいくらいだ…
自宅も豪邸すぎて、自室が落ち着かない。
天蓋付きベッドはなんとか撤去できないだろうか…
そのベッドに座り、記憶にある漫画を思い返してみる。
主人公は、明るく優しい性格の女の子。
男が苦手で、それを改善するために共学の高校を選択する。
奨学生でわざわざ入学してくるのは、上流階級の子供の通う学校なら、普通の高校だといる馴れ馴れしく絡むタイプはいないだろうという予想を持ち、苦手改善をしやすいと考えたためのはずだ。
だが、今日のパーティーを見る限りだと、自分から男の周りをうろついていたような…?
まあ考えてもわからないから、とりあえずほかの事を考えるか。
たしか、入学後、自分に近寄らない女が珍しく、金城が話しかけて、芋づる式に志倉とも交流を深めて…
それに嫉妬した私が主人公をいじめるという漫画だったはず。
でも漫画では金城と志倉と私はあまり話したことがないからこその嫉妬で、今日のような幼少期パーティーで仲良く話すなんて過去エピソードは知らないぞ?
ところどころ漫画と違うようだが、断罪されないとは言い切れない。
嫉妬していじめる気は毛頭ないが、念には念を入れなければ!
幸い、今日あの2人とは交流を持てた。
このまま交流を深め、幼馴染になろう!
それであの2人とある程度親密になれば、断罪なんて展開にはならないはず。
自分と家族を守るために、まず目標はそれで決まりかな?
そうと決まれば、また子供が参加するパーティーに連れて行ってもらわなければ。
そこまで考えたところで、自室の扉がノックされた。
「あやの、パパだけど、今大丈夫かな?」
その声に、ベッドから降り、扉に向かい、開く。
「平気ですわ。何か御用でしょうか?」
「今金城さんの奥さんから連絡があったようでね。
今度、息子の慎也くんのバースデーパーティーをするらしくてね。
あやのにぜひ参加してほしいって慎也くんが言っているみたいなんだが、どうする?」
目の前にチャンスが!
「もちろん参加させていただきますわ。
今日のパーティーでもお話して、とても楽しかったもの。」
こんなにトントン拍子で良いのだろうか。
「仲良くなれたようで良かったよ。
お母さんが大変で、あやのには今寂しい思いをさせているからね。
お友達ができそうで一安心だ。」
そうだ、記憶を思い出して混乱し、忘れていたが、母親は現入院中だ。
まもなく出産なのだが、体調を崩している。
漫画ではあやのには妹がおり、姉妹仲は最悪だった。
しかし、どうやら産まれるのは弟だと聞いている。
やっぱり、漫画とは違う世界なのかな?