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なんとも変わらぬ日常
「あー……彼女欲しいー!」
「またかお前」
授業の合間の休憩時間。
一つ後ろの席で彼女がほしいと言い机の上に頭を伏せる奴は僕の友人だ。お決まりの台詞に呆れ顔は隠さないまま、その様子を横目で捉えつつも机を漁り、次の授業の準備を始める。
背後ではしくしく泣き真似をする奴。冷たいなどと呟いているのが聞こえるけれど、これ以上相手にしても疲れるのは目に見えている。そんな事は付き合いが長いため既に経験済みだ。
「はぁ……。」
今はそれどころではないのだ。どうしたものか、とため息が自然と漏れる。
「え、まさかお前……!」
「ちょっと黙ってて」
僅かに漏れ出た息に目敏く反応すると、犬のように目を輝かせて何かを言いたそうな友人。彼が続けて口に出そうとしたことを何となく察しはしたが、それを遮る。
面倒ごとは御免だ。幼い頃から面倒ごとを避けて避けて、人に合わせる事が不得意なまま生きてきた。
しかしそんな僕ではあるが、特別困ったことなど一度も無かった。
そう、昨夜ある事件が起きるまでは━━━━