『ガントレット』って何?
「高橋、お前、その手袋、何?」
「手袋などしていない。」
「してるよ。お前、それ軍手だろ?」
「違う。これは『ガントレット』だ!」
「何それ? そういう軍手のメーカー名?」
「無知なお前に教えてやろう。日本で言う『籠手』のことだ。」
「コテ・・・。あの剣道部室の『地獄の臭さ』の原因だろ? 夏場は特に凄い。ネチョネチョしてるんだよな。」
「そんな下賤なものと一緒にするな!」
「でも寒くもないのに、何でそんなもの着けてんの?」
「・・・敵が襲ってきたときのため。」
「ああ。三中のやつらのこと? やっぱりバカにしすぎたよな。三中の校門のところの看板に線と点をつけて、『玉中』にしたのはなぁ。」
「だから、そんな低レベルな奴らの事は、敵とも見ていない。」
「嘘つけよ! お前、3週間前、奴らにカツアゲされそうになって土下座してたところを俺らが助けてやったのを忘れたのか?」
「見間違いだ!」
「当時の動画が残ってるけど、見る? お前のやられっぷりは一見の価値ありだよ。」
「そんなもの撮ってないで、助けろよ! 可哀想だろ思わないのか?」
「全然。・・・お前、土下座っていうかもう、路地裏で土下寝してたからな。脅してるはずの三中生が逆に引いてた。」
「神が人間相手に本気で戦えるか!?」
「だってお前、・・・泣いてただろ?」
「もうすぐ死んでしまう相手の事を考えたら、可哀想で。」
「きれいにまとめたな!」