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昨日までは普通の友達だったはず

「高橋、お前、空中の一点を見つめて何やってんの? ・・・って無視すんなよ。」

「私は高橋などという名前ではない・・・。」

「ま~た、あれか、いつもの一人遊びか!」

「無礼者!フィクションではなくリアルの話だ。本来であれば、お前ごとき下賤の民が、神の如き私と話をすること自体が罪なのだぞ。」


「腹が減ったんで、これから立ち食いソバでも駅前に食べにいかないか? その後、いつもみたいにゲーセン行こうぜ?」

「普通の蕎麦ならまだしも、立ち食いの店だと! そんな下種なものを食べる私だと思っているのか?」

「食べてたよ。一昨日もガッツリ食べてたよ。かき揚げ丼とかけそばのセットにオプションでかき揚げを付けてたじゃん。『ダブルかき揚げって、どんだけかき揚げが好きなんだよ!』とツッコんだのを忘れたのか?」

「それはお前の記憶違いだ。」

「絶対に間違いじゃないって! だって昨日の朝、お前、顔がてんぷら油の取りすぎでテッカテカだったもん。テッカテカだったもん。」

「私の高貴な顔がてんぷら油ごときでテカるわけないだろう。それにそもそも、てんぷらなど食べていない。」

「嘘だね。ガッツリと食べてたし、ガッツリとテカってたよ。それを指摘したら大至急、手洗い場にある普通のセッケンで顔を洗ったせいで、逆に顔がカッサカサになってたもん。カッサカサになってたもん。」

「さっきから何で二回『もん』を繰り返すんだ?」

「お前のその変なキャラと一緒だよ。マイブーム。」

「俺のはキャラじゃないってば!」

「おっ! いよいよバケの皮が剥がれてきたようだね。」

「私は超高級洗顔フォームしか使わない。」

「おっ、キャラを立て直したか?」

「そんな石鹸などというものが顔に付くと考えただけで、全身に鳥肌が立つ。」

「超高級な洗顔フォームって何だよ? ちなみに上流階級だったら洗顔フォームとかじゃない洗顔用品を使うんじゃないの?」

「お前ごときがわからないくらい、洗顔フォームの世界は広くて深い。」

「そうなの? ちなみにどこのメーカー。超興味あるんだけど。」

「ビ、ビ・・」

「ビ〇レ? 結構、庶民的な。」

「お前らが使っているような奴とは違う超高級なアイテムがあるのだ。」

「マジ? 明日持ってきてよ。」

「持って来られるくらい軽くはない。」

「それ、何㎏くらいあるんだよ?」

「普通の人間には持てないくらいだ。」

「具体的な重さを言えよ! だとしても、それだけ重かったとしたらどうやって配達するんだよ?」

「フォ、フォークリフトで・・・。」

「お前の家のあのちっぽけな玄関にフォークリフトが入れるわけないだろうが!」

「・・・庭のほうから入れる。」

「庭って、お前、あの広さを庭と言い張るか? 犬の小屋だけでパンパンじゃねーか。」

「勘違いをしているようだから教えてやる。お前が考えている我が家は本当の我が城ではない。」

「じゃあ、これからその本当の我が城とやらに連れてってくれよ。」

「普通の人間には入れない。というか見ることすらできない。」

「あっ、そうなの? 住所だけでも教えてよ。」

「住所という概念はない。」

「どういうことだよ? それ。」

「その城は私の頭の中にしかない。」

「結局、妄想じゃねーか!」


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