【1♡ ハーフエルフは恋をしたい】 エルフはゾロ目に何かあるらしい
召喚儀式で汗を拭ってくれた美人、
エカテリーナの話です。
勇者召還の1年前。
作中の数字に関しては、
あまり気にせずお読み下さい。
エカテリーナはハーフエルフだ。
より正確には、ハーフハーフエルフである。
エルフ族の祖母が555歳の時に人族の祖父との子供を身ごもり、族長であった曾祖父に大反対を受けたため駆け落ちし、祖父の故郷で母を出産した。そこに家を買い、慎ましく生活しながら冒険者であった祖父を送り出しては、迎える日々を送っていた。ある時、祖父と祖父のパーティが帰還予定を1ヵ月過ぎても帰って来なかった。2ヵ月、半年、1年を過ぎても、誰も帰って来なかった。それでも祖母は待った。待って、待って、待った。待ってる間は、国の図書館に勤め、本の管理と家の管理をしながら、いつまでも待っていた。祖母はにこにこ待った。とうとう祖父は帰って来ず、祖母は666歳の時に病気で月に召された。
母は祖母を看取り、祖母の仕事を引き継いで国の図書館に勤めた。母が図書館に勤めて222年後、333歳の時、たまたま国に訪れた冒険者の父と恋に落ち、出会って3日で結婚した。それからすぐにエカテリーナが生まれ、親子3人で幸せな日々を過ごした。そして時が経ち、父が77歳の時、2人に看取られながら大樹へと還った。「この55年間とても幸せだった」が寡黙な父の最後の言葉となった。さらに55年後、今度は母がエカテリーナに看取られながら大樹へと還った。「エカテリーナ。私のかわいいエーリア。いつかあなたも素敵な恋をする。幸せになってね」が母の最後の願いとなった。
エカテリーナも願う。私も祖父と祖母、父と母の様な素敵な恋がしたいと。
エカテリーナは尊敬する4人から受け継いだこの容姿が大好きだ。
祖母と母からは優しいピンクの髪を。右目は祖父の凛々しい青色。左目は父の落ち着きのある緑色。右は人族の丸い耳。左はエルフのツンと尖った耳。考え事している時に右耳の髪を何度もかける仕草は父譲り。おっとり穏やかすぎる性格は母以上。いざという時の行動力が凄いのは祖父母に似だ。胸が大きいのは母方の血。
ちぐはぐのパーツは絶妙なバランスを生み出し、エカテリーナという女性の魅力を最大限に引き出している。
その魅力で幾人もの冒険者を虜にしているのだが、エカテリーナには、自覚がない。
エカテリーナは天然だ。かなり天然だ。
そんなエカテリーナは職場の図書館で、恋愛書籍コーナーにハタキをかけながら未だ見ぬ恋人へと想いを馳せて溜め息をつく。そして、その仕草にまた何人か見取れている。
エカテリーナは今110歳。
恋に憧れるお年頃。
運命の人は何処にいるのか。
たぶん、
きっと、
来年に出会えるんではないだろうか。
[祖父・祖母・祖父母]2回続けて言って下さい。
アオイ「そふ・そぼ・そぼぼ!そぶ・そぶ・そばぼうろ!(ドヤァ)」
エカテリーナ「すごいですぅ!」
祖父母「「読んで頂きありがとうございます!」」