【3♯ 勇者乙女】 男だって[ぱふぱふ]ができる
体が熱い。骨がプシプシいってる。骨の中身が抜けていく様な感じ。胸に、腹に、ドクドク血が巡ってる。股がキューってなってる。玉ヒュン? うう。ああ。もう立ってられない。
俺は熱にうなされながら、体を抱きしめた状態で地面にへたり込んだ。
あぁ地面ちべたぃ。このまま座ってたい。ふにゅう。
ん? 地面? あれ?
体の熱がとれてきて楽になったら、周りの環境が変わっていることに気づいた。
地面は土。辺りは薄暗く、松明の灯りでぼんやり見えるのは、洞窟の中? そして、俺を中心に2メートルくらい離れた場所に取り囲むように佇んでいる魔法使いの様な服装をしている人々。
まるで、怪しげな儀式を行っている様だな。
あ、これ勇者召喚の儀式か! ここで問題です。では、召喚されたの誰ですか? ハイ、俺!
……俺、ぼっちクオリティ高まってきたな[BBD]癖がヤバい。説明しよう! [BBD]とは、ボッチ・ブレイン・ディスカッションの略である。ぼっちのぼっちによるぼっちの為の脳内会話なのだ!! 派生として、[ぼっちノリツッコミ]・[脳内会議]があり、主に[荒ぶったテンションの還元]・[気持ちの整理]の為に発動される。とてもウザい思想で、この説明がまさにそうだー! だー!
で? で? 何? 何か言った方がいいのか? 魔法使いさん達、心配そうに見てるし。ここは、決め台詞か?
俺、参上! ……違うな。
召喚!俺! ん。こっちだな。
んな事を考えてたら、魔法使いの1人が近寄ってきて、俺の額の汗をハンカチで拭ってくれた。
決め台詞言い逃した! 一生に一度のタイミングだったのに!
まぁいい。もしかしたら、クールなジャパンは異世界には早すぎるかもしれないしな。
汗を拭い終わった魔法使いさんが俺を見ている。
フードを深く被ったその顔は松明の灯りでチラチラ見えるかぎり、女性だ。しかも美人ぽい。あ、美人が話しかけてきた。
「勇者様、私の言葉がわかりますか?」
良かった。わかる。ありがとう。ちょっと疑ってた。ごめん、おじ神(略)。
「わかります」
返事をしたが、ん? ちょっと低めの声が出た。喉をやられたか?
「私はエカテリーナと申します。勇者様、お疲れの様ですので、先ずは王都にてお休み下さい。後日、王がお会いになります。立てますか?」
確かに先ずは、ちゃんとした所で休みたい。意識はハッキリしているが、まだ体がダルい。こくんと返事代わりに頷くと、立ち上がろうとした。
ズルン グンッ
何かにつまずいた。いや、何かを踏んだ。
足元を見るとズボンが脱げて足下まで下がっている。
え? 何で脱げた? あわててズボンを上げようと手を伸ばしたら、シャツもおかしい事に気付いた。右手が全然見えない。シャツの袖が伸びたのか、手元がだるんとしてる。左手はスマホを握ったままだったので指先が見えるが、こちらの袖もだるんとしてスマホに引っかかってシワが出来ている。
「ふぇ?」
また低い声が出た。
シャツから手を引っ張り出して確認する。小さい。
ワンピースみたいに裾が伸びているシャツの下から覗く足を確認。細い。
顔を触る。よくわからない。少し小さくなった?
そして、さっきからバサバサ視界の端に見えてたものを触る。
グン
痛い。俺の髪だ。かなり長い。
そして、そして、確かめるのが怖いけど、確かめねばならない!
シャツの上から胸を触る。
ふにふに。ふにふに。ふにふにふにふにふにふにふにふにふにこりっふにふにふにふにふにふにふにふに。ふにふに。50? いや、20ゴールドレベルか? ふにふにふにふにふにふに……。
……待て、まだ慌てる段階じゃない。大丈夫。大丈夫だ。男だって[ぱふぱふ]ができる奴だっているんだ。うん。次!
ボクサーパンツの上から股間を触る。
ぷにぷに。ぷにゅ。……ぷにぷに。ぷにゅん。
…………股が! 股がぁ! そんなに股をいじいじするタイプじゃなかったとはいえども、ここが少し寒いからって理由だとしても、知ってる! 俺は知っている! 俺の股はぷにぷにしない! オ○ンゴボ○ンゴ兄弟でいったらボ○ンゴの時でもぶにぶにぐらいはする! それと、ん、何だ!? ぷにぷにとぷにぷにに隙間がある! はわわ! 何だこの隙間はぁ! せっかくだから俺はこの奥へ行くぜ! んっ。ダメだ。これ以上はダメだ。俺の何かが終わる。すでに何かが終わってるような気がするが別にそんなことは無かったぜ! 勇者の次回召還にご期待ください。ダメだ。[BBD]が暴走している!? くっ、沈まれ! 俺の股間! いや、むしろ暴走できたらいいのか? ダメだ。落ち着け、素数を数えるんだ……くっそ素数がわからん。落ち着け。何を慌ててるんだ。俺のドラゴンとボールが無いだけじゃないか。何を言ってるかわからねーと思うが、まだ願いを叶えてないのにシェンロンと二星球が消えたんだ。そうだ、それだけなんだ……。
……やりやがった! くっそお! やりやがったな! あの女神(外道)!
「あっーー!」
俺の声が洞窟にこだました。
白神「白神さんから依頼書がきた」
黒神「黒神さんたら読まずに送り込んだ」
白神「仕方がないので女体化したった(ドヤァ)」
黒神「こうして勇者の冒険は始まった(笑)」
アオイ「これが、お前らのやり方かぁ!」
W神「読んで頂きありがとうございます!」