経験不足な旅人少年
これは、フィクションです。
作者的にかなり真面目に書くので、応援よろしくお願いします。
では。
私は逃げていた。
必死に…ただ迫り来る何かから必死に逃げていた。
ここは、山のなかにある森。
既に日は暮れてしまって、大人でもゾッとするほどに暗い夜だ。
なんで?どうして?どうしてこうなってしまったの?分からないよ…。信じられないよ。目を疑ってしまうよ。
そんなことを心の中で思う。
しかし、後ろを見れば…………赤い目をしたあいつが未だに私を狂喜に狂ったような笑みを浮かべてこちらを追いかけてきている。
「ヒッッ!?」
思わず足を止めそうになる。まだ追ってきていたのか。
信じられない。こんなに必死で逃げてきたというのに。
恐怖でいっぱいになって狂いそうになる。
私の目は涙で溢れており、顔もグシャグシャになっている。
もう嫌だ!すぐにでもあいつから遠くに離れたい!
そんな思いを抱きながら、私は必死に逃げていた。
朝日が射し込む森の中。そこには、一人の黒髪の少年が横になって寝ていた。
ただし、木の葉を布団にして体全身を隠してだが。
やがて、少年は目を覚ました。
「ふわぁー。んー…………ん?」
あくびをしながら、木の葉を退かし、体を起こして軽く伸びをした。そのあと何かに気付いたように動きを止める。そして。
「やった…………やったぞ…………俺は、生き残ったぞぉぉぉぉーーー!!!!」歓喜に震えたように手と体を震わせた後、思いっきり叫んだ。
バサバサ!どこかで鳥達の羽ばたく音がした。
あー、やばかった。死ぬかと思った。
はっきり言って、今もあんまり生きた気がしない…。
あの魂の叫びから数十秒後。
なんかデカイ茶色の狼みたいな奴がやって来やがった。
俺は、「いきなりかよっ!?」とか思いつつ、我が愛刀の十手で狼の牙の攻撃を俺と牙の間に割り込ませて、一息に迫ってきた狼に本当の鉄の味を喰らわせてやらなかったら…………マジで奴の今日の朝飯になるところだった。
あのあと、狼が牙の痛みに転げ回らなかったら、俺はこうして逃げ切れなかっただろう。恐らく「テンションハイになって警戒怠って、死んじゃったぜ☆デッドエンド」みたいな悲劇になっていたかもしれない。
俺は、思わずぶるるっと体を震わせた。
嫌な話だ…。考えたくもない。
まあ、昨日。魔物に襲われて逃げて何とか逃げ延びたあと、ここが何処だか分からなくなって迷子になり、暗い夜の森の中で「今日は、死ぬ……かもな」とかお通夜雰囲気で考えうる限りの必死の生存率向上の努力をしていたことは横に置いて、だ。
しっかし、ここホント何処だよ(泣)。
また、命削るような野宿は勘弁してくれ。
今日は、ひとけのある安全な場所で寝るんだと、心に決めて俺は森の中を歩いた。
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