行動しないことには
「うーん。そっか……。じゃあ、モコモコ動画外で『やめようぜ!』って呼びかけたりするのはどうかな?」
「サイト外でか? 例えば?」
「ほら、ブログとか、そういうのがあるだろ? 俺らだって作れるんだろ? なら作ってそこで訴え続ければ案外効果が出るかもしれないぜ」
それは、そうかもしれないと思った。
そういうことを訴え続ければ、ある程度の評価、効果を期待できるかもしれない。
ただ、問題がないわけじゃない。
「ブログなりサイトなりを作って訴えるっていう案自体は悪くないかもしれないな」
「だろ? なら――」
「けどな、それ、見てくれる人が多いことが前提だろ?」
ばっさり切ると、真は「う……」と苦い顔になる。
「真だって、俺がアップした動画が全然再生数伸びなかったこと、知ってるだろ? ネットはいくらでもそういうものが作れるから、効果を期待しようとするなら、まず、人の目を引くようなことをしないといけないんだよ。ブログとかは、たぶん、目立たないとこだと一日一人見に来てくれる人がいればいい方なんじゃないか?」
「そうだな。完全に否定するつもりはない。実際に作ってみるのも一つの手だろう。が、芽依君の言ったように、まず人の目を引くようなことをしなければどうしようもない」
真には悪いが、良策とは言えなかった。
作るのも一つの手だ。むしろ、ちょっとでも効果が期待できるのならやるべきだろう。ただ、そうしたからといって、なにかが変わるかと言われると、首を傾げてしまう。
「でも、行動しないことには始まらないだろ?」
「いや、そりゃそうなんだがな……」
「ふむ……」
真の一言に、俺も先輩も黙る。
「手があるなら、全部やってみて、ダメならダメで他を考えるでいいだろ!」
がたっと席を立ち、拳を握ってみせる真。
ちょっと熱血っぽい。
「とりあえず、さっき言ってた、動画で訴えるってやつと、ブログを開いてみるってやつを同時にやってみる。ブログに動画を貼るってことも確かできるんだよな? なら、動画を貼れば、ブログをやる場合は人の目を引くようなことをしなければってのも、なんとかなるんじゃないか?」
「そうかもしれないが、真、もうちょっと考えてから――」
「芽依は傍観側なんだろ? とりあえず見ててくれればいいさ」
えーと? それはそうなんだけど……。
「あ、でも、カメラは貸して欲しいわ」
「……いいけど」
「おっし! 燃えてきたぜっ! 黒木先輩も、それでいいですよね?」
身を乗り出して、先輩に了承を取りにかかる。
「え? あ、いや、私はもうちょっと――」
「大丈夫です。今回は俺が全部やりますんで。黒木先輩は応援しててください」
「あ、そうか? ならいいが」
なんか変なところにスイッチ入ったか?
急に乗り気になってるような気がするんだけど……。
「見てろ! 芽依の動画にケチつけたやつらをギャフンを言わせてやるぜ!」
うおおおおおおおおと一人で盛り上がる。
やってやるぜーと気合を入れまくっていた。