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赤い騎士

 太陽。

 まだ高い陽射しを受けてきらきらと輝くクリムゾンブロンドは、それを連想させた。

 身に纏うラメラーアーマーも赤いエナメルを施してあり、鎧の下に着込んだ白い制服によく映えている。

 横顔からセリフィスよりいくらか年下と思われる少年はドアノッカーを数回叩き、首をかしげた。

「……留守っぽいね」

 一人呟いたその声も、まだ声変わりを終えていない。

「あの……」

 後ろから声をかけると、少年は弾かれたように振り向いた。

「うちに何かご用でしょうか?」

「うち?」

 少年の目に、探るような色が浮かぶ。

 しかし視線が絡み合った途端、彼の疑問と警戒は氷解したようだった。

「あなたが、セリフィスさんですね?」

 代わりに人懐っこい笑みを浮かべ、少年は言う。

「ええ……」

「はじめまして」

 彼は腰を曲げ、優雅にお辞儀した。

「肖像画以上だ。すごく綺麗な目……あ」

 アクアマリンの瞳に照れ臭さを浮かべ、頭を掻きながら決まり悪そうに笑う。

「俺は王子付きの近衛騎士隊長、ガイザーヴって言うんだ。今日は王子のたっての頼みで、あなたを迎えに来たんだよ」

 そして、突拍子もない事を言い出した。

「え?」

 不審も露なセリフィスの声に、ガイザーヴは苦笑を漏らした。

「我ながら怪しいけどさ、俺は本物の使者なの。王城に上がる日が幾分か早くなっただけだし買い足りない生活用品なんかはもちろん登城をせっついたあの朴念仁のウスラバカにたっぷり保障させるからさ、ここは一つおとなしく荷造りして欲しいなぁ……ね、お願い!」

 どこまでも陽気さの漂う少年は顔の前で両手を合わせ、伏し拝む勢いでセリフィスに頼み込む。

 その様子には悪意がカケラも見受けられず、セリフィスの不審をあっという間に溶かしてしまった。

「……分かりました」

 一つ頷き、セリフィスは鍵を開けて家の中に入る。

「ただいま準備をしますから、少しお待ち願えますか?」

 ガイザーヴの顔が、ぱっと輝いた。

「ありがとう!もちろん俺はここで待ってるから、ゆっくり準備していいよ!」


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