そして現在 七
「嘘っぱちだろ、この本」
十年前というタイトルの本。初版が今年の一月だったが故のタイトルだとは思うのだけれども、もう少しなんとかならなかったのかなこれというタイトルの本。友永さんが集めてきてくれた本の中でただこれ一冊のみが新しく、それでいて作者が『あの男を捕まえた人間』だというこの本。
何も知らない人達がこれを読んだら素直に信じてしまう人も出てきてしまうかもしれねえけど、これは流石に有り得ねえよと断言してやりたかった。確かに。そう、確かに。大体の部分は合っているんだ。あの男の仲間達がアパートの屋上で会合みたいなものをしたのも事実だし、あの男がそういう作戦の上でサンタクロースの存在を全世界に広めようとし、だが結局白髭の老人のみがサンタクロースなのだという噂が広まってしまったというのも合っている。
大体合っている。
けれどもやはり、俺は断固として言ってやりたかった。この本に書いてあることは嘘っぱちだ、と。
何故なら。
――俺が登場していないから。
俺は見ていた。あの男のすることなすことの一部始終を。あの男の後ろについていって、最終的にあの男の目論みが失敗する瞬間も全てみた。全て。全て、だ。だからこそ俺は言える。比較的残念な頭のせいで時折記憶が曖昧にはなるが、あれ程まで衝撃的だった出来事を忘れられるなんてそんなことは、それこそ有り得ねえ。
断言出来る。
十年前――この本の作者はあの場にはいたのだが、実際に全ては見ていないのだと。
「おい、春賀彼方」俺が久しぶりにシリアスモードに入っていると、俺の右横でいまだに『十年前』という本を握ったままのカタギリ君が俺に尋ねてきた。「それは一体どういうことなんだ。まさか君は、十年前のあの夜に――甲斐谷さんを見たとでもいうのか?」
カタギリ君がやけに真剣な赴きで聞いてきて、その上更にあの友永さんまでもがじっと俺の顔を眺めて俺の言葉を待つなんてことをしてくれたもんだから答えるのを臆してしまったが、別段隠すべきことでもないだろうし、あの過言を隠す為に嘘を言う必要性なんかねえだろと思い、「おう。あるぜ」と軽い口調で応答した。
その瞬間。
俺は、激しく後悔した。
「嘘、でしょ」
スタートを切ったのは友永さんだった。カタギリ君と友永さんの両方共鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔を一瞬だけしたのだが、本を持ってない分だけ友永さんの方が早く動けたんだろうと俺は推測する。まあ要するに、友永さんは「嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょ嘘でしょ!」と叫びながら俺の首を絞め始めたのである。「そんな筈ないじゃん! だってあの男だよ! サンタクロースの存在を結果的には広めることに成功したあの男を、ハルカ君なんかが見たっていうの! ……アハハハハ。ねえ、そんなに軽々しく嘘ついて楽しい? 流石に私も勘忍袋の緒が切れたっていうかあ」
「グェエ……と、友永さん、死ぬ、俺死んじゃう」
「嘘ついてすいませんでした今すぐ土下座したいです! ってサナカちゃんの目の前で言ってくれたら両手を話してあげるよ!」
「それ達成する為、に、は……まずツチクラをこの場に呼ぶ手間と時間が必要ですよね……」
「そうだね! その間に嘘つきは死んじゃうんだあ。悲しいねアハハハハ!」
「そこで何故に笑い上戸スキル発動なんだ……」
笑いながら俺の首を締め上げてくる友永さんに恐怖感を覚えたので、というよりも最早友永さんが人間でないように思えてきてしまったので、俺は「一生のお願いだ助けてくれえええ」と『十年前』を段ボール箱の中に丁寧にしまっているカタギリ君の方を見ながら助けを求めた。
徐々に薄れていく意識の中。
俺が見たカタギリ君の右手には、何だか妙に光りを反射する凶器が収まっていた。言うまでもなく描写するまでもなく、恐らくほぼ大多数の方々のご想像通り、ナイフだった。先刻の、俺を切ろうとしたナイフ。しかも今の俺には現在進行形で「謝ろっか謝らなきゃダメだよこれは謝るしかないよね謝って!」と叫びながら友永さんの両手の力の圧力が首にかかっている。
「今さっき、一生のお願いだとかなんとか言っていたな、春賀彼方。じゃあ僕も一生のお願いとやらを今ここで使わせてもらおう。一生のお願いだ。平然とカッコつけの為だけに嘘を言うこの男にナイフを突き立てようとする僕を、止めてくれ」
「少なくともそれは俺じゃあ無理だ!」
反射で叫んでみたのだがどうやらどうやらカタギリ君の方の勘忍袋の緒も限界ギリギリらしく、うっすらと見えるカタギリ君の右手にはしっかりとナイフが握られており、更にその当の本人であるカタギリ君の顔が物凄く無表情だったのだ。無表情でナイフを人に向けるとか。無理だろそれ。
まあ、さ。
笑いながら人の首を両手で締め上げるのも無理なことにはかわりねえんだけども。
「さー、ハルカ君」
「処刑の時間が始まるやもしれない」
「今すぐ謝れば」
「謝って先刻の発言をなかったことにすれば」
「ハルカ君のこと、許してあげるよ」
「だが、春賀彼方が嘘だったことを認めなかった場合」
「その時はー」
「その時には、君は既に」
「「アハハハハ」」
「怖えよこの人達助けてくださいすいませんでした!」まさかの奇跡過ぎるコラボレーションをかましやがった二人に称賛と危険人物通告を送り付けてやりたい気分を一心に抑えながら俺は言う。「嘘です! ええ、嘘ですよ! 嘘だけど! はいこれで満足か二人共ぉ!」
半ばやけになりながら、ていうか本気の本気で意識が消えかかっていたので叫ぶしかなかったっていうのが本音だったのだが、とにかく俺は嘘をついていないのに嘘をつきましたと言って嘘をついた。対して友永さんは「最初からそういえばいいんだよ。まあ私も本気じゃなかったから安心してね。本気だったらハルカ君なんて叫べもしなかったし……ろくな死に方出来なかったよ」とゾッとするほど沈んだ声で俺にそう言って俺の首から両手を離し、かたやカタギリ君は「チッ。また切れなかった、か」と言いながら再びナイフの先端をカバーで覆っていた。もう怖えよこの二人。何が怖いって、笑いながらの凶行と無表情の凶行を同時に見なきゃいけないってのが怖い。
というかさ。
何だか、二人共さ。
――オーバーリアクション、過ぎやしねえか?
「なあ、二人共」ゲホッゲホッと中途半端に止まっていた息をなんとか整えつつ、若干気になったことをカタギリ君と友永さんに尋ねようとする俺。「何もそこまで俺の言うことを否定しようとしなくてもいいだろ。それも二人同時って。……まさか二人共、逆にあの男に会ったことがあるとか?」
俺的には軽いジョークのつもりだった。俺のこの発言を聞いて友永さんは「何言っちゃってんのハールカ君―。そこまでの妄想をする為にはどんな人生送らなきゃいけないんだろうねアハハハハ」という風に返してくるんじゃないのかとか思っていたし、カタギリ君は「いや、流石にそれはない。何しろあの男はサンタの根本を崩した世紀の大犯罪者だからな。それは、ない」と冷静に返してくれるもんだと思っていた。
だが。
二人共が二人共、さっと青ざめてしまい、下を向き始めた。まるで俺の質問に対する答えをどうしようか迷っているみたいなそんな様子だと見ただけではとれてしまう、カタギリ君と友永さん。
「あー、え? 二人共、図星?」
「そ、そそそそんな訳ないじゃんハルカ君有り得ないって有り得ないって」
「そうだぞ何を言ってるんだ春賀彼方そんな過去は嘘であってだな有り得ないんだよそうだ有り得ない」
「…………」
ええっと、これは結局どういうことなんだろう。カタギリ君と友永さんの両者は俺と同じようにあの男を見たことがあるととってもいいんだろうか。
十年前に俺と同じようにあの男を見た人間。
それすなわち、俺と同じように十年前のあの夜あの時間――サンタクロースの存在が白髭の老人だという噂が広まったあの光景を、見ていたってことか?
「嘘だろ。……え、なあ。カタギリ君か友永さんのどっちでもいいから答えて欲しいんだけど」
本に書いてあった変身出来る女性について心あたりはねえか?
そう聞こうとした。そう聞こうとしただけなのに、カタギリ君は「悪い、友永由里。この本、明日まで貸してくれ」と突然言い放つと『十年前』だけを持ち出し、図書館における貸し借りのルールを全く準さずにすたこらさっさと去って行った。マジかよカタギリ君。そこまで俺の質問に答えるのが嫌なのかい。
そしてカタギリ君に取り残された形となる友永さんは、「あ、シンヤ君待って私を置いてかないで」と消えそうな声でつぶやくと、「……えー」と俺を見ながら落胆するそぶりを隠すことなく思い切り俺に見せつけてくる。「最終的に残ったの、私とハルカ君の二人だけ? えー。司書の仕事やる気なくすっていうかー」
「そのぶりっ子口調恐ろしく似合ってないからやめたほうがいいと思うぜ」
「こういう感じの口調聞いたすぐ後に人をぶりっ子だって断定するのやめてくれないかなあ」
「ま、それはそれとしてさ、友永さん」
「無視かい私の呟き! もう、何なのさカナタ君!」
「ちょっと気になったんだけど、下の階の人達って何で俺と友永さんを注意しに来ねーんだ? 防音設備か何かあんのか、もしかして」
「……そういやそうだね」そう言うと、俺が尋ねた事象に対してなのかは知らないが、何はともあれ友永さんは再度輝かしいくらいの満面の笑みを浮かべ始めた。「よかったー。どうやら上手く成功したみたいだね、これ」
「成功? なんだよ友永さん、防音機能をどっかにつけたのか?」
「アハハハハ。違うよ全然。もうっ、ハルカ君はせっかちだなー」
「……キモチワルイ」
「っ! 誰が何様でそんなこと言える立場なのよ……なんてことは言わないよ、今の私は! いやー本当に成功してよかったなあ。偉い。私、偉い。エヘヘヘヘ」
「キショクワルイ」
「誰が気色悪いだ、誰が! 折角の喜びが半減しちゃうからやめてよハルカ君!」
「いやいや、だってさ」頬を引き攣らせながら、俺は友永さんに向けて言う。「いきなりそんなおっとりアピールされても、とっくの昔に手遅れ感がさ」
「だぁれがその時期を決めるのよ! 私は今も昔も敏腕おっとり司書だから! そこらへん勘違いしないでよハルカ君クラァ!」
「今も昔も? おいおいここにいる人大学卒業前から司書の仕事やってたらしいですよこれ!」
「何にも、知らない、くせに、ふざけるのも大概にしてよね!」友永さんはキレながら、まあつまりはいつもの友永さんみたいに戻りながら叫ぶ。「ずっと前から私は図書館でボランティアみたいなことしてたの! ボランティアから転じての司書さん、それが私なのよ!」
「……はいはいわかったわかった」
「あああ! 私の話に興味なくなったねカナタ君間違いなく!」
ようやく冷静になった、というか強制的にそうしてしまおうとする俺、プラス友永さん。とりあえず冷静になったであろう俺が左手首に巻いてある腕時計を見て時間を確認してみると、時刻は午後二時を軽く越えていた。思わず「げええ」と唸ってしまった俺を許してほしい。だからさ、友永さんさ、唸った俺に対してわざわざ「うるさいよ。ここは図書館だから」とか言わなくてもいいじゃないか。悲しくなるぞ流石の俺でも。
だから俺は反論を試みて、友永さんもそれに反論する。
その後も、ギャーギャーワーワーと俺と友永さんの罵倒の言いあいは続いた。
「もううるさいなあハルカ君は本当に! お腹空いたでしょ早く行ってきてよ!」「俺基本的に一日二食で足りるんで大丈夫なんだなこれが!」「うっわウッザ!」「そういう友永さんは昼ご飯食べなくていいのかよウッザ!」「食べたいよ私昼ご飯! でも私他にやることあるから食べれないの!」「他にやることってなんだよ!」「まずこのサンタと変身に関する資料片付けなくちゃいけないんですけど!」「ああそれはやめてくれまだ読むから! というか、あれだ、あの『十年前』っていう本ってカタギリ君に盗まれたままだけどいいんかい!」「ああ大丈夫あれだけは私の本だから! あれだけ新品なのにはそういう理由があったんだよ!」「なんであの本を忍び込ませたんだよ友永さん!」「えー何のことわっかんなーい」「やっぱり友永さんさ、あの男に会ったことあるんだろ」「アハハハハ面白いこと言うねえハルカ君はー」「なあ、どこからどこまでが本当で、どこからどこまでが嘘なんだ?」「えー? 私わかんなーい。何のこと? ハルカ君さ、結局何が言いたいの?」
「そもそもさ、初めからこの図書館はおかしいと思ってたんだ」
俺は出来る限り真剣な表情と言葉で、依然笑い続ける友永さんに喋る。「何で猫が図書館の二階に居るんだよ。何で俺の大きな指摘の声聞いて二階に居た司書の友永さんは何の反応も示さないんだよ。――何で一階の人は、俺と友永さんの叫び声に対して何も言ってこねえんだよ」
「…………」
「友永さんさあ」無言のまま、友永さんは俺を見る。その様子を、俺は見る。「『十年前』をわざわざ段ボールの中に入れたことが特にそうだ。……俺の思い過ごしだったらいいんだが、もしかして、何か企んでたりしねえか」
「……さあ、どうでしょー」
そう言うと、友永さんは。
見る者全てを魅力的だと思わせられるんじゃないかというくらい蠱惑的な表情を浮かべ。
受け付けの下の方から一冊の本を両手で取り出し、段ボール箱の本の塊の上に置いた。全体的に茶色で、分厚い。見るからにボロボロで、臭いをかいだら年代ものの香りがしそうなそんな本。
その本のタイトルは――『ある一つの街の技術』というものだった。「今ね。この本読んでるの、私」
「……おう」友永さんのしんみりとした口調に違和感を覚えつつも、俺は相槌をうつ。
「この本に書かれてる内容、面白いの。昔々にこの街から掛け離れた街があったらしいんだ。その街ではロボットと人間が共存してて、三人兄弟の王の家系の人達が街を治めてたみたいなんだよ。ロボットと共存するくらいだから技術面にも優れてたみたいでね、大半は私でも造れなさそうなんだけど、二つだけならなんとか造れそうなのがあるみたいなんだね、これがさー」
と。
一気に喋り、一呼吸おく友永さん。俺が「その二つってのはどんなんなんだ」と聞く前に、友永さんはその『二つ』の概要を語る。「一つは、『ドアーズスルードア』っていう……まあ、ようは防犯の為のドアを造り出す装置のことかな。専用の小さいチップを最初からあったドアに組み込んで使うの。そして、その組み込まれたドアは――予め登録しておいた人の承認がなきゃあけられないようになるんだよ」
「…………」
「もう一つはね、これまた凄いんだよ」嬉々とした様子なのに、静かな雰囲気を醸し出す友永さん。そんな友永さんが、普通に怖かった。ほんの少しだけ、怖い、と思ってしまう俺がいた。「『瞬間移動装置』」
「瞬間、移動?」
「そうなの。私、瞬間移動が出来るかもしれないの。この街でも科学的に不可能ってされてる瞬間移動。それが出来るかもしれないんだよ。……でもまだ調整が必要かなー。外にいた猫ちゃん二匹を二階の司書室の中にしたつもりだったんだけど、位置間違えちゃってたみたいだしね」
うんっ。
やっぱり私、図書館が大好き。「『ある一つの街の技術』っていう本、ずっと捜してたの。禁書に指定されて絶版になってた本。それがまさか、図書館の棚の裏にあるなんて」
アハハハハ、アハハハハ。
彼女は高らかに笑い始めた。俺はそんな彼女を見ながら彼女の言っていた内容を頭の中で復習してみるが、何を言っているのか理解できなかった。何を造っているのかということではなく、何のためにそんなものを造る必要があるのか。それに対する答えが、全く思い浮かばなかった。
「あーあ。また黙っちゃったね、ハルカ君」彼女はそう言うと、突如「そうだ! ハルカ君で実験してみよう!」と叫び、受け付けの下の方から何やらおかしなものを取り出した。
手の平に収まるか収まらないかの大きさ。全体が白く、直方体。中央部分に円形の浮き上がった部分が見える。見た分には、堅い、という印象を受けるそれ。
まさか――。
いや、そんな馬鹿なことはねえだろ。そうだ、俺の勘が当たった試しなんてほとんどねえんだ。
だから、これが友永さんの言っていた瞬間移動装置って奴な訳が――。
「流石のハルカ君も予測出来ちゃったかな?」笑って、彼女は俺に一つの事実を告げる。「悪い予感は大体当たるもんなんだよ。残念、ハルカ君。これは皆が羨む対象であるべきもの、瞬間移動装置でーす」
カチッ、という音が聞こえた。
友永さんの親指がスイッチらしき部分を押すことによって、聞こえた。「じゃあね、ハルカ君」
友永さんの告白を聞いて直ぐさま俺もその瞬間移動装置とやらを奪おうとしたが、間に合わなかった。「うおおおおお!」
瞬間移動された時に、おかしな感覚はなかった。
――気付いた時には、空中に居た。
今さっきまで二足歩行だったのにも関わらず突然足場がなくなることによって沸き上がる恐怖。重力によって強制的に落下する自分の体。背中を下にして、落ちる。その一連の重大要項への対処方法が何も思い浮かばない。「あああああ!」と。風を感じる。強制的に発生する、下からの豪風が俺の体全体を持ち上げようとするが、落下は止まらない。晴れた空が見えた。その間、俺がまだ落下している途中なのだと頭の隅で考えている間、空を見ていた。何も変わらない。
俺が地面に落ちて、死ぬかもしれないという事実は、何も、変わらない。
「おいおい何勝手に落ちてんだよそこのバカ野郎が!」
そう、思っていた。
その人の声が聞こえるまでは。
その声の主はトナカイに乗っていた。空中を浮遊することが出来るというトナカイに。そのトナカイに乗っている人物の声が、これでもかというくらいに拡大されて俺の鼓膜を響かせる。
――新美教官。
メガホンを片手に持つ女性。見た感じ若そうなのに、教官として俺達三人を教える立場にいた女性。
メガホン。そうだ、メガホンだ。それが全てを繋ぐかもしれないと表現しても過言ではないかもしれない。
『十年前』という本を、書いたのかもしれない女性。十一年前に起きた事件の犯人の娘かもしれなくて、更には、十年前――あの場にいたかもしれない女性。
「よっと」と新美教官は俺をお姫様抱っこの要領で俺の落下を止め、「グヘッ」と俺はその衝撃から思い切りのけ反った。