ひえだの!
今作は早苗がヲタ予備軍な設定です。
あと阿求はそんなに黒くしないでおきました
「あった…!」
私はいま最高に興奮しています!まさか…まさか幻想郷に来てもライトノベルが読めるなんて…!やはり香霖堂の品ぞろえには驚かされます。DSソフトがある時点でまさかとは思っていましたが、本当にあるだなんて。しかもお気に入りのシリーズの新刊ですよ、新刊。私は小走りでレジに駆け込み、ホクホク顔でラノベを手に帰路につきました。
店を出て、早速歩きながら読んでいると声をかけられたような気がしましたが、気の所為でしょう。
「えっと、早苗さん?」
いやぁ、やっぱりこの作家さんの展開のうまさには定評がありますから、この伏線が気になりますね。
「あ、あのっ」
にしてもシリアスなだけでなくきちんと笑えて面白いのも特徴なんですよ、これ。ホント、幸せなひと時ですよ。
「早苗さん!」
誰か呼んだでしょうか?顔をあげると若干涙目でこちらを見ている阿求の姿が目に入りました……。
「あ、あのっ」
どうしましょう、目の前の人はどう見ても早苗さんなのですが、反応してくれません。もしや嫌われてしまったのでしょうか。しかし一瞥もくれずに読みふけっていることから、よほど面白い本を読んでいるのでしょう。
「早苗さん!」
もし嫌われているほうだったらどうしようかと不安でしたが、こちらを見た反応からして集中していたのでしょう。少しほっとしながら気になっていたことを聞きました。
「何読んでるんですか?」
「へぇ、これが“らいとのべる”ですか」
「なんか平仮名な発音だね…」
どんな発音ですか…。
「にしても、これは読みやすいしユーモアに溢れていますね。こんな世界もあるとは…、幻想郷は広いんですね。これは幻想郷縁起を見直す必要が…」
「ちょっとまって!これはフィクションだから!」
「そうなんですか?」
「第一にこれは外の世界の読みものだから、幻想郷のホントのことが書いてある訳がないから…」
「でも博霊の神主さんは外の世界にいろいろと発信しているじゃないですか」
「作者名も違うじゃない」
「外の世界は面白い名前の人がいるんですね」
「これはペンネームで…」
少女説明中…
「つまり、これがかの有名な“オタク文化”なんですね」
「少し違うんだけどなぁ」
「実質は同じじゃないですか」
「私と霊夢ぐらい違うんだよ」
「どっちも腋出し少女じゃないですか」
むぅ、早苗さんの話はよく解りませんね…。
「で、でもこれは読みやすいし面白いでしょ?」
まぁ、この“らのべ”は面白く読みやすいので多くの人がハマるのも分かりますが。イラストが妙に可愛らしいのも私としてはイイと思います。でもこの作品は男性に人気だとか。外の世界はよく解りません。
「それで、早苗さんはオタクなんですか?」
「ぅぐ。そ、そこまでじゃな…くはないけど。なんかそうやってこっちに来てまで言われると、慣れたはずなのになんか嫌だなぁ」
「へぇ、そうなんですか」
「まって!なんで少しずつ下がってるの!?」
だって、外から来た人は「美少女はオタクに狙われる」っていってたから…
「ねぇ!こっち見てよぉ阿求~」
目を合わせたら魔法にかけられるってこの本に書いてあったので目線は外させていただきます。すると目線の先に、こっちを見ている人が…。たしか、『文々。新聞』の射命丸文。だった気がします。
「そっちになにか……。ぅぇ」
「どうも『文々。新聞』の者ですが」
「どうも稗田阿求です」
「早苗さんはオタクだったんですねぇ」
「違っ……。え、と。予備軍です!」
「まるで『ビョーキ』のような言い方ですね」
「そんなことは言ってないんですけど!?」
…。完全に無視ですか、射命丸さん。もういいです、帰ります。
…。
「あ、ちょっと阿求!ラノベ返してってば!」
「おぉ、オタクが何やら非力な少女からたかってますねぇ」
「私のだってば!」
なにやら騒いでますが知りません、かえります。
あぁ、阿求かえっちゃった…。まだ読み終わってないどころかすごく良い所だったのに。これもこの鴉天狗の所為なんだから。
それにこの趣味のことは秘密にしてたんだから、この人にだけは知られちゃいけなかった。…そういや阿求も幻想郷縁起の著者なんだから知られちゃまずかったんじゃあ…。
とにかくこの鴉天狗を叩きのめしてから考えよう。
そう思い早苗がスペルカードを取り出した時には既に、文は「記事は鮮度が命ですので。」と言って飛び去っていた。
Fin
まずは更新遅れてすいませんでした。
諸事情により間に合いませんでした。
理由は活動報告にて。