第51話:月の光の継承[終]
満月の光が「月影の庭」を銀色に染め、月見草と夜来香がキラキラと揺れる。
夜光蝶がふわりと舞い、フクロウの「ホウ、ホウ」が遠くで響く。
私はエリス・ルナリス、18歳、没落貴族の娘で王宮の雑用係。
両親のレモンイエローのハンカチが庭の癒しを温かく照らし、ルナリス家の誇りを胸に刻んだ。
今夜、王様と女王様が「月影の庭」を訪れると聞き、心がざわめく。
王宮の頂点に立つお二人が、どんな言葉をくれるのか。
庭の未来を、月見草の光とともに確かめたい。
庭の中央に木製のテーブルを並べ、月見草の花冠とセリナ直伝のポーションを置く。
満月の光がテーブルを照らし、甘い花の香りが漂う。
転生前の花屋で、特別な客に花束を贈った時の緊張と喜びがよみがえる。
あの頃は忙しさに追われていたけど、この庭では皆の笑顔が私の力をくれる。
ルナが月見草の花壇からふわっと現れ、銀色の髪が月光に揺れ、白いドレスが星屑のように輝く。
彼女は目を輝かせ、ニヤリと笑う。
「姉貴、親父とお袋のハンカチ、キラキラだったな! 今夜は王様と女王様って? 私の光で、庭をドカンと輝かせちゃう?」
私は花冠を手に、くすっと笑う。
「ルナ、いつも派手だね。王様と女王様に、庭の癒しをちゃんと伝えたい。静かに、でも心から輝こう」
「ふっ、姉貴の聖女パワー、気合い入ってる! いいよ、私のキラキラで、王宮も下町も月まで照らすぜ!」
ルナが宙を舞い、月見草の光をそっと強める。
夜光蝶がテーブルを囲み、ふわりと舞う。
私はティーポットを手に、ポーションをカップに注ぐ。
苔むした階段から重厚な足音が響き、王様と女王様が現れる。
王様は威厳あるローブに銀の冠、女王様は月光に映える白いドレスで、まるで月そのものが歩いているようだ。
庭が一瞬静まり、フクロウの鳴き声が響く。
王様が庭を見回し、深く頷く。
「エリス・ルナリス、この庭は王都の誇りだ。月見草の光、王妃の心を継いでいる」
女王様が微笑み、柔らかく言う。
「エリス、君の庭は私の心を癒す。この月光、まるで昔の王妃がここで微笑んでいるようだ」
私は胸が熱くなり、深くお辞儀する。
「王様、女王様、ありがとうございます。この庭、みんなの笑顔で輝いてます。月見草と皆のおかげです」
王様が一歩進み、革の小箱を取り出す。
「エリス、君の功績を称え、贈り物を授ける」
箱を開けると、月の形をした金のブローチが現れる。
中央に小さな月見草の彫刻が輝き、満月の光を浴びてキラキラと揺れる。
私は息をのむ。
「この……月の金のブローチ、なんて美しい……!」
王様が穏やかに言う。
「このブローチは、君が月影の庭の正式な管理者となる証だ。雑用係から、庭の守護者へ。王都の癒しを、君に託す」
私はブローチを手に、胸が震える。
転生前の花屋で、客の笑顔に支えられた記憶がよみがえる。
この庭で、ルナやカイル、テオ、フィン、リナ、マイ、トム、リディア、セリナ、両親の絆が私の光だった。
女王様が私の肩に手を置き、微笑む。
「エリス、君の庭は貴族も平民も繋ぐ。月の前では皆平等、その理念が王都を変えたよ」
ルナが王様の頭上をふわっと飛び、ニヤリと笑う。
「姉貴、王様に認められた! 私のキラキラもバッチリ効いてるよね?」
私は笑いながらツッコむ。
「ルナ、認められたのは庭の力だよ! でも、キラキラはルナのおかげね」
王様がクスクスと笑い、ポーションを飲む。
「このポーション、心が軽くなる。エリス、君の癒しは王宮にも届いている」
そこへ、階段から賑やかな足音が響き、みんなが駆け寄る。
リナとマイが花冠を手に叫ぶ。
「エリスお姉ちゃん、王様と一緒に茶会! キラキラ!」
テオが新しいしおりを手に、微笑む。
「エリス、庭の管理者、おめでとう。月見草のしおり、記念に」
トムが果物をテーブルに置き、笑う。
「エリス、下町も庭の光でキラキラだ! 管理者の初仕事、市場にも来てくれよ!」
リディアが扇子を振って言う。
「エリス、庭の管理者として、貴族も応援するわ。この庭、永遠に輝くわよ」
レオンが大げさなポーズで叫ぶ。
「エリス、癒しの女王だ! 俺、癒しの王子として庭を守るぜ!」
フィンが木剣を振り、笑う。
「姉貴、庭の騎士、俺も管理者補佐な! ランニングで庭を守るぜ!」
私は皆の笑顔に胸が温まり、転生前の花屋で客の笑顔に癒された記憶と重なる。
ルナが指をパチンと鳴らし、月見草の光が集まり、空中に「月の花園」の幻が浮かぶ。
光の花壇が揺れ、夜光蝶がキラキラと舞う。
庭が皆の笑顔で輝く。
「みんな、ありがとう。この庭、貴族も平民も、子供も大人も、みんなの心でキラキラしてる。月の金のブローチ、庭の管理者として大切にするよ」
王様が頷き、言う。
「エリス、庭をこれからも守れ。王都の癒しは、君の手にかかっている」
女王様が微笑み、月光に映える。
「エリス、君のスローライフは王妃の心を継ぐ。この庭、永遠の光であってほしい」
私はブローチを胸に付け、月見草に触れる。
指先がふわりと光り、庭の光が強まる。
夜光蝶がブローチを舞い、フクロウの鳴き声が響く。
私は皆を見回し、決意を口にする。
「王様、女王様、みんな、ありがとう。この庭、ルナと一緒に、永遠の癒しの場にします。月の前では皆平等、ずっと守るよ」
ルナが私の肩に降り、珍しく静かに言う。
「姉貴、聖女パワーと私のキラキラ、最強だろ? 庭、月まで届くぜ」
私は微笑み、ポーションを配る。
皆がカップを手に、笑顔で飲み、庭が温かな絆で満たされる。
満月の光が庭を包み、月見草と夜来香の香りが漂う。
この幻想的な庭でのスローライフは、王様のブローチと皆の笑顔で、永遠の輝きとなった。
◇
夜が深まり、茶会の笑顔が静かに消える。
庭には私とルナだけが残り、満月の光が月見草を優しく照らす。
夜光蝶がふわりと舞い、フクロウの鳴き声が遠くで響く。
私は胸の月の金のブローチに触れ、転生前の花屋の記憶を振り返る。
忙しさに追われた日々、客の笑顔に救われた瞬間、そしてこの庭で築いた絆。
ルナが私の横にふわっと浮かび、銀色の髪が月光に揺れる。
「姉貴、庭の管理者、めっちゃ似合ってるぜ。私のキラキラと姉貴の聖女パワーで、王都はこれからもキラキラだろ?」
私は笑い、ルナの手をそっと握る。
「ルナ、君と一緒なら、どんな未来も輝くよ。この庭、永遠に守ろうね」
ルナがニヤリと笑い、月見草の光を強める。
夜光蝶が私たちの周りを舞い、庭が星屑のように輝く。
私はルナと手を繋ぎ、満月を見上げる。
月の光が庭を包み、私たちの絆を永遠に照らす。
この「月影の庭」で、私のスローライフは、ルナと一緒に、いつもキラキラと輝き続ける。
(終わり)




