第50話:両親の誇り
月の光が「月影の庭」を銀色に染め、月見草と夜来香がキラキラと揺れる。
夜光蝶がふわりと舞い、フクロウの「ホウ、ホウ」が遠くで響く。
私はエリス・ルナリス、18歳、没落貴族の娘で王宮の雑用係。
謎の画家の絵が王宮のホールに飾られ、庭の名声が王都に広がった。
今夜は特別な月見茶会、両親を初めて庭に招待した。
転生前の花屋で、忙しさの中で家族との時間を後回しにしていた記憶がよみがえる。
この庭で、両親と心を通わせたい。
庭の中央に木製のテーブルを並べ、月見草の花冠とセリナ直伝のポーションを置く。
月の光がテーブルを照らし、甘い花の香りが漂う。
ルナが月見草の花壇からふわっと現れ、銀色の髪が月光に揺れ、白いドレスが星屑のように輝く。
彼女は目を輝かせ、ニヤリと笑う。
「姉貴、謎のじいさんの絵、めっちゃキラキラだったな! 今夜は親父とお袋が来るって? 私の光で、家族の茶会をドカンと輝かせちゃう?」
私は花冠を手に、くすっと笑う。
「ルナ、いつも派手だね。今日は両親と静かに過ごしたい。この庭の癒し、ちゃんと伝えたいな」
「ふっ、姉貴の聖女モード、家族バージョンか! いいよ、私のキラキラで、親父とお袋の心も月まで照らすぜ!」
ルナが宙を舞い、月見草の光をそっと強める。
夜光蝶がテーブルを囲み、ふわりと舞う。
私はティーポットを手に、ポーションをカップに注ぐ。
苔むした階段から穏やかな足音が響き、父と母が現れる。
父の背は少し曲がり、母の髪には白いものが混じるが、二人ともルナリス家の誇りを湛えた笑顔だ。
母が庭を見回し、目を潤ませる。
「エリス……この庭、なんて美しいの。月見草の光、王妃の時代みたいよ」
父が頷き、深く言う。
「エリス、お前がこんな場所を作ったなんて。ルナリス家の名に恥じない」
私は胸がじんわりと温まり、二人に花冠を渡す。
「父上、母上、ようこそ。この庭、みんなの笑顔で輝いてるんです。座って、ポーション飲んでみてください」
母が花冠を手に、微笑む。
「エリス、あなたの心がこの庭を輝かせてるのね。ポーション、楽しみだわ」
父がカップを手に、ポーションを飲む。
夜光蝶が彼の肩に舞い、フクロウの鳴き声が響く。
「エリス、この味……心が落ち着く。よくやったな」
転生前の花屋で、忙しさの中で母に短いメールを送った記憶がよみがえる。
今、この庭で、両親とゆっくり話せる喜びが胸を満たす。
ルナが父と母の頭上を飛び、ニヤリと笑う。
「姉貴、親父とお袋、庭のキラキラにビックリだな! 私の光で、家族の絆もキラキラさせちゃう?」
私は笑いながらツッコむ。
「ルナ、絆は静かでいいんだよ! でも、キラキラはルナのおかげね」
母が小さな包みを取り出し、そっと渡す。
「エリス、記念に。これ、父さんと一緒に選んだの」
包みを開けると、レモンイエローのハンカチが現れる。
まるで月の光のように柔らかく輝き、端には月見草の刺繍が施されている。
私は目を奪われる。
「母上……このハンカチ、めっちゃ綺麗! 月の光みたい。ありがとう!」
父が穏やかに言う。
「エリス、この庭は王都の宝だ。お前の頑張り、誇らしいよ。このハンカチ、ルナリス家の誇りを込めたんだ」
私はハンカチを手に、胸が熱くなる。
転生前の花屋で、客が花束に添えた小さな贈り物に癒された記憶と重なる。
ルナがハンカチの周りをふわっと飛び、言う。
「姉貴、親父とお袋のハンカチ、悪くない! でも、私のキラキラの方が派手だろ?」
「ルナ、ハンカチの輝きは特別だよ。でも、庭のキラキラは君のおかげね」
私はツッコみながら、月見草に触れる。
指先がふわりと光り、庭の光が強まる。
夜光蝶がハンカチを舞い、満月の光が家族を包む。
そこへ、トムとリディアが階段から現れ、笑顔で近づく。
トムが果物のバスケットを手に言う。
「エリス、親父さんとお袋さん、庭にぴったりだ! 下町も応援してるぜ!」
リディアが扇子を手に、優雅に微笑む。
「エリス、家族の絆、素敵よ。この庭、貴族も平民も癒すわ」
私は両親にトムとリディアを紹介し、ポーションを配る。
父がトムと市場の話を、母がリディアと花の話を始める。
庭が温かな笑顔で満たされる。
レオンが階段を駆け下り、大げさなポーズで叫ぶ。
「よお、エリス! 家族の茶会、俺も仲間入り! 癒しの王子、レオン、参上!」
私は笑いながらツッコむ。
「レオン殿下、客でいいですよね? でも、来てくれてありがとう!」
ルナがレオンの頭上を飛び、ニヤリと笑う。
「姉貴、うるさい王子まで来た! 私のキラキラで、茶会を月まで輝かせちゃうぜ!」
ルナが指をパチンと鳴らすと、月見草の光が集まり、空中に「月の花園」の幻が浮かぶ。
光の花壇が揺れ、夜光蝶がキラキラと舞う。
私はハンカチを手に、皆を見回す。
「みんな、ありがとう。この庭、両親の誇りとみんなの笑顔で輝いてる」
母が私の手を握り、涙ぐむ。
父が私を抱きしめ、言う。
「エリス、あなたの庭は王都の宝よ。ルナリス家の誇り、しっかり受け継いでる」
「こんな娘を持てて、誇らしい。庭の光、これからも守れよ」
私はハンカチを胸に抱き、微笑む。
「父上、母上、ありがとう。このハンカチ、庭の光と一緒に大切にするよ」
この幻想的な庭でのスローライフは、両親のレモンイエローのハンカチと家族の絆で、また一歩輝いた。




